象徴主義とコンプレックス配色とムンク

 

↑ この絵は

エドヴァルド・ムンクが29歳の時に描いたものです。

 

ムンク(1863-1944)は、「叫び」でよく知られたノルウェーの画家ですね。

 

「叫び」同様、ムンクの絵には、「不安」や「絶望」「死」の影が潜んでいるものが多いのですが、この作品にも、どことなく「不安感」が漂っています。

 

 

モチーフの捉え方もさることながら、画面全体を閉める藤色がかった青色は、爽やかというよりも、神秘的ですね。

 

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すべての女性が、美しく着飾っていた

日本最古の櫛(赤色漆塗:縄文前期8000年前の赤)
日本最古の櫛(赤色漆塗:縄文8000年前の赤)

 

この「赤色漆塗り櫛」はなんと8000年前のものです。

 

歴史区分では「縄文時代」にあたります。

 

実に美しい漆塗りが施されていますが、

発見された瞬間は、もっともっと鮮やかな「真紅色」の櫛だったそうです。

 

そんな大昔に、これほどの彩色がなされたこと、

しかも、今も残っていることが驚きですね。

 

日本最古の櫛(くし)ということですから、装飾品。

いわゆる、おしゃれのための色彩です。

 

普通、「赤」と言えば鳥居の赤のような、「信仰心」を連想させる色彩ですが、

 

この漆塗りの赤色を見ている限り、縄文時代の人にとって、

 

この赤い色彩は、現代の私たちに通じる、「オシャレとしての赤」であったように感じられます。

 

実際、このような彩色された櫛は、かなりの頻度で見られるそうです。

 

 

  

 

 

今と同じように、

「すべての女性が、美しく着飾っていた」と考えられています。

 

 

女性のおしゃれは、平和の時代のシンボル。

 

 

 

 

さて、下のガチンコ勝負のポスターをご覧ください。

 

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色彩検定3級「ファッション配色」

問題12-B
問題12-B

【問題】

問題12-Bの写真に関する記述として、最も適切なものを1つ選びましょう。

 

 

①トーンに対照性がある配色である。

②強烈な補色色相配色である。

③色相に共通性がある配色である。

④中間色同士の配色である。


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黄色いベスト運動(パリは燃えているか!)

パリ中心部でデモを行うイエローベスト(2018年12月1日) ロイター通信写真
パリ中心部でデモを行うイエローベスト(2018年12月1日) ロイター通信写真

「黄色いベスト運動 」をご存知ですか?

フランスで、2018年11月17日から発生している政府への抗議活動のことです。

 

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チューリップフィーバー〜肖像画に秘めた愛〜

「チュリップフィーバー、肖像画に秘めた愛」という映画が

2018年10月6日(土)から全国で公開されます。

 

映画の予告編

http://tulip-movie.com

 

 

 

Q.

さて、17世紀のオランダといえば何を連想しますか?

 

 

1.チューリップ

2.レンブラント

3.フェルメール

4.ゴッホ

 

 

 

 

A.

1.正解

2.正解

3.正解

4.不正解

ゴッホは19世紀のオランダ生まれの画家です。

 

 

17世紀のオランダは黄金時代、球根ひとつの値段が邸宅一軒分の価値になったという、17世紀オランダの 「チューリップバブル」を背景に、豪商の若き妻と無名の青年画家の許されざる愛の行方を、映画化しています。

 

 

そんな好景気のなか、豊かな中産階級に支えられて、レンブラントやフェルメールといった大画家が誕生します。

美術の様式では「バロック」と呼ばれます。

特に、レンブラント(1606-1669)はその最盛期。

26歳年下のフェルメール(1632-1675)の晩年は、オランダの勢いもやや陰りを見せ、それに伴い筆力も陰りを見せたとも言われています。

 

芸術も経済的な繁栄に支えられてこそ、開花するものなのですね。

 

 

 

 

ヒロインが手紙を読む姿は、フェルメールをの作品でよく描かれた構図です。

映画の中でも、ヒロインが手紙を読むシーンが出てきます。

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黒海とエーゲ海

雨の多い黒海
雨の多い黒海

黒海(こっかい)は、なぜ黒い海と呼ばれるのでしょうか?

 

英語でも Black Sea(黒い海)と呼ばれます。

太陽燦々のエーゲ海
太陽燦々のエーゲ海
続きを読む

色彩のみによる商標登録3番目は三井住友「セブン-イレブン」

色彩の商標登録の3つ目は三井住友フィナンシャルグループによるグリーン系の色合いです。 

確かに、三井住友銀行を探すときはこの色合いの看板を探します。

また、もし、無関係の企業が同じ配色で商売をしたら、三井住友系グループの会社と勘違いするかもしれません。

 

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色彩世界の大変革を成し遂げたウィリアム・パーキンとモーブ

ウィリアム・パーキン 合成染料 モーブ
モーブの発見者ウィリアム・パーキン

 

 

 

 

 

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パウルクレーを知っていますか。

パウルクレーについて、次のどれでしょうか?

 

1.画家である。

2.音楽家である。

3.バウハウスの先生である。

 

 

 

 

 

 

 

1.2.3の全て正解。

 

パウルクレーは、スイス出身のドイツ人画家です。

クレーは画家であり、音楽家であり、バウハウスでも教鞭をとりました。

 

 

幼い頃より、ヴァイオリンに親しみ、その腕前はプロ級だったと言います。

特に、音楽性を絵画に取り込んだ絵画を多くのこしています。

 

 

 

 

 

ヴァイオリニストでもあったクレーは、ヴァイオリンを弾きながら、その弓の先端が動く軌跡に興味を持ったり、楽譜を図形のように捉えるなどしています。

クレーは、これらの音楽的体験を視覚化し、「音楽を描いた」と言われています。

曲を弾きながら、幾何学的な画面構成(コンポジション)を探求したのです。

 

続きを読む

もっとも「不適切な色」平昌オリンピック

平昌オリンピックの紫色

平昌オリンピックが終わりました。
日本選手の大活躍とともに、フェアな闘いぶりに感動しましたね。
さて、カラーリストとして気になった色彩は、フィギュアスケート、スピードスケートの会場の「紫色」です。
「紫」は色の中でも、最も使い方が難しく、はっきり申し上げて「本体、紫色はスポーツには適さない色」です。


なぜならば、紫色には「もっとも動きがない色」であり、
紫色は「もっとも病的な色」だからです。

進出色の赤と後退色の青を混色してできた紫色は、前にも後ろにも進めずに、止まった印象があり、昔からスポーツには使用されない色とされてきました。
しかし、最近ではサンフレッチェ広島や京都サンガ F.C.のユニフォームなどにも使われています。

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コーヒーブラウンvsココアブラウン

「茶色」には、さまざまな色があります。

「お茶」自体にも、ほうじ茶、煎茶、緑茶、抹茶、紅茶とさまざまな色がありますが、大雑把には、暖色系の暗い色全般をさします。

 

江戸時代には「百茶百鼠」と呼ばれる、多くの茶系、グレイ系の色が流行しましたが、

「◯◯茶」とは、暖色系で、低彩度や低明度の色、

「◯◯ねず」とは、寒色系あるいは無彩色で低彩度や低明度の色ととらえることができます。

 

 

さて、英語のブラウンですが、茶色ほどは色の範囲が広くはなく、

ブラウンは橙系の暗い色の総称」です。

 

ことに色調(トーン)について

コーヒーブラウンとココアブラウンについて考えてみましょう。

 

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野獣派の好んだ色彩

アンリ・マティス「緑の筋のあるマティス夫人の肖像」1905年
アンリ・マティス「緑の筋のあるマティス夫人の肖像」1905年

この作品は、荒々しい色彩が大胆に配置された、野獣派(フォーヴィズム)時代の代表作です。

顔は左右の色が異なって、それぞれ背後の色面と呼応しています。

向って右側の顔は赤く、背後(左)の赤と対応、

顔の中心の緑色の筋は、背景や顔の赤と補色の関係にあるのです。

大胆な配色ながら、これらは決して”感情的”ではなく、”知的”に計算されている点が注目に値します。

 

しかも、これらの非現実的な色彩が、風景や静物ではなく「人間の顔」に用いられたことが衝撃的なのです。

 

顔の中心の緑は、背景の強烈な配色と均衡を保っていて、マティスが人物と背景を同等に扱った事がわかります。

 

 

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象徴主義とコンプレックス配色とムンク

 

↑ この絵は

エドヴァルド・ムンクが29歳の時に描いたものです。

 

ムンク(1863-1944)は、「叫び」でよく知られたノルウェーの画家ですね。

 

「叫び」同様、ムンクの絵には、「不安」や「絶望」「死」の影が潜んでいるものが多いのですが、この作品にも、どことなく「不安感」が漂っています。

 

 

モチーフの捉え方もさることながら、画面全体を閉める藤色がかった青色は、爽やかというよりも、神秘的ですね。

 

続きを読む

すべての女性が、美しく着飾っていた

日本最古の櫛(赤色漆塗:縄文前期8000年前の赤)
日本最古の櫛(赤色漆塗:縄文8000年前の赤)

 

この「赤色漆塗り櫛」はなんと8000年前のものです。

 

歴史区分では「縄文時代」にあたります。

 

実に美しい漆塗りが施されていますが、

発見された瞬間は、もっともっと鮮やかな「真紅色」の櫛だったそうです。

 

そんな大昔に、これほどの彩色がなされたこと、

しかも、今も残っていることが驚きですね。

 

日本最古の櫛(くし)ということですから、装飾品。

いわゆる、おしゃれのための色彩です。

 

普通、「赤」と言えば鳥居の赤のような、「信仰心」を連想させる色彩ですが、

 

この漆塗りの赤色を見ている限り、縄文時代の人にとって、

 

この赤い色彩は、現代の私たちに通じる、「オシャレとしての赤」であったように感じられます。

 

実際、このような彩色された櫛は、かなりの頻度で見られるそうです。

 

 

  

 

 

今と同じように、

「すべての女性が、美しく着飾っていた」と考えられています。

 

 

女性のおしゃれは、平和の時代のシンボル。

 

 

 

 

さて、下のガチンコ勝負のポスターをご覧ください。

 

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色彩検定3級「ファッション配色」

問題12-B
問題12-B

【問題】

問題12-Bの写真に関する記述として、最も適切なものを1つ選びましょう。

 

 

①トーンに対照性がある配色である。

②強烈な補色色相配色である。

③色相に共通性がある配色である。

④中間色同士の配色である。


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黄色いベスト運動(パリは燃えているか!)

パリ中心部でデモを行うイエローベスト(2018年12月1日) ロイター通信写真
パリ中心部でデモを行うイエローベスト(2018年12月1日) ロイター通信写真

「黄色いベスト運動 」をご存知ですか?

フランスで、2018年11月17日から発生している政府への抗議活動のことです。

 

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チューリップフィーバー〜肖像画に秘めた愛〜

「チュリップフィーバー、肖像画に秘めた愛」という映画が

2018年10月6日(土)から全国で公開されます。

 

映画の予告編

http://tulip-movie.com

 

 

 

Q.

さて、17世紀のオランダといえば何を連想しますか?

 

 

1.チューリップ

2.レンブラント

3.フェルメール

4.ゴッホ

 

 

 

 

A.

1.正解

2.正解

3.正解

4.不正解

ゴッホは19世紀のオランダ生まれの画家です。

 

 

17世紀のオランダは黄金時代、球根ひとつの値段が邸宅一軒分の価値になったという、17世紀オランダの 「チューリップバブル」を背景に、豪商の若き妻と無名の青年画家の許されざる愛の行方を、映画化しています。

 

 

そんな好景気のなか、豊かな中産階級に支えられて、レンブラントやフェルメールといった大画家が誕生します。

美術の様式では「バロック」と呼ばれます。

特に、レンブラント(1606-1669)はその最盛期。

26歳年下のフェルメール(1632-1675)の晩年は、オランダの勢いもやや陰りを見せ、それに伴い筆力も陰りを見せたとも言われています。

 

芸術も経済的な繁栄に支えられてこそ、開花するものなのですね。

 

 

 

 

ヒロインが手紙を読む姿は、フェルメールをの作品でよく描かれた構図です。

映画の中でも、ヒロインが手紙を読むシーンが出てきます。

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黒海とエーゲ海

雨の多い黒海
雨の多い黒海

黒海(こっかい)は、なぜ黒い海と呼ばれるのでしょうか?

 

英語でも Black Sea(黒い海)と呼ばれます。

太陽燦々のエーゲ海
太陽燦々のエーゲ海
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色彩のみによる商標登録3番目は三井住友「セブン-イレブン」

色彩の商標登録の3つ目は三井住友フィナンシャルグループによるグリーン系の色合いです。 

確かに、三井住友銀行を探すときはこの色合いの看板を探します。

また、もし、無関係の企業が同じ配色で商売をしたら、三井住友系グループの会社と勘違いするかもしれません。

 

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色彩世界の大変革を成し遂げたウィリアム・パーキンとモーブ

ウィリアム・パーキン 合成染料 モーブ
モーブの発見者ウィリアム・パーキン

 

 

 

 

 

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パウルクレーを知っていますか。

パウルクレーについて、次のどれでしょうか?

 

1.画家である。

2.音楽家である。

3.バウハウスの先生である。

 

 

 

 

 

 

 

1.2.3の全て正解。

 

パウルクレーは、スイス出身のドイツ人画家です。

クレーは画家であり、音楽家であり、バウハウスでも教鞭をとりました。

 

 

幼い頃より、ヴァイオリンに親しみ、その腕前はプロ級だったと言います。

特に、音楽性を絵画に取り込んだ絵画を多くのこしています。

 

 

 

 

 

ヴァイオリニストでもあったクレーは、ヴァイオリンを弾きながら、その弓の先端が動く軌跡に興味を持ったり、楽譜を図形のように捉えるなどしています。

クレーは、これらの音楽的体験を視覚化し、「音楽を描いた」と言われています。

曲を弾きながら、幾何学的な画面構成(コンポジション)を探求したのです。

 

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もっとも「不適切な色」平昌オリンピック

平昌オリンピックの紫色

平昌オリンピックが終わりました。
日本選手の大活躍とともに、フェアな闘いぶりに感動しましたね。
さて、カラーリストとして気になった色彩は、フィギュアスケート、スピードスケートの会場の「紫色」です。
「紫」は色の中でも、最も使い方が難しく、はっきり申し上げて「本体、紫色はスポーツには適さない色」です。


なぜならば、紫色には「もっとも動きがない色」であり、
紫色は「もっとも病的な色」だからです。

進出色の赤と後退色の青を混色してできた紫色は、前にも後ろにも進めずに、止まった印象があり、昔からスポーツには使用されない色とされてきました。
しかし、最近ではサンフレッチェ広島や京都サンガ F.C.のユニフォームなどにも使われています。

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コーヒーブラウンvsココアブラウン

「茶色」には、さまざまな色があります。

「お茶」自体にも、ほうじ茶、煎茶、緑茶、抹茶、紅茶とさまざまな色がありますが、大雑把には、暖色系の暗い色全般をさします。

 

江戸時代には「百茶百鼠」と呼ばれる、多くの茶系、グレイ系の色が流行しましたが、

「◯◯茶」とは、暖色系で、低彩度や低明度の色、

「◯◯ねず」とは、寒色系あるいは無彩色で低彩度や低明度の色ととらえることができます。

 

 

さて、英語のブラウンですが、茶色ほどは色の範囲が広くはなく、

ブラウンは橙系の暗い色の総称」です。

 

ことに色調(トーン)について

コーヒーブラウンとココアブラウンについて考えてみましょう。

 

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野獣派の好んだ色彩

アンリ・マティス「緑の筋のあるマティス夫人の肖像」1905年
アンリ・マティス「緑の筋のあるマティス夫人の肖像」1905年

この作品は、荒々しい色彩が大胆に配置された、野獣派(フォーヴィズム)時代の代表作です。

顔は左右の色が異なって、それぞれ背後の色面と呼応しています。

向って右側の顔は赤く、背後(左)の赤と対応、

顔の中心の緑色の筋は、背景や顔の赤と補色の関係にあるのです。

大胆な配色ながら、これらは決して”感情的”ではなく、”知的”に計算されている点が注目に値します。

 

しかも、これらの非現実的な色彩が、風景や静物ではなく「人間の顔」に用いられたことが衝撃的なのです。

 

顔の中心の緑は、背景の強烈な配色と均衡を保っていて、マティスが人物と背景を同等に扱った事がわかります。

 

 

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象徴主義とコンプレックス配色とムンク

 

↑ この絵は

エドヴァルド・ムンクが29歳の時に描いたものです。

 

ムンク(1863-1944)は、「叫び」でよく知られたノルウェーの画家ですね。

 

「叫び」同様、ムンクの絵には、「不安」や「絶望」「死」の影が潜んでいるものが多いのですが、この作品にも、どことなく「不安感」が漂っています。

 

 

モチーフの捉え方もさることながら、画面全体を閉める藤色がかった青色は、爽やかというよりも、神秘的ですね。

 

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すべての女性が、美しく着飾っていた

日本最古の櫛(赤色漆塗:縄文前期8000年前の赤)
日本最古の櫛(赤色漆塗:縄文8000年前の赤)

 

この「赤色漆塗り櫛」はなんと8000年前のものです。

 

歴史区分では「縄文時代」にあたります。

 

実に美しい漆塗りが施されていますが、

発見された瞬間は、もっともっと鮮やかな「真紅色」の櫛だったそうです。

 

そんな大昔に、これほどの彩色がなされたこと、

しかも、今も残っていることが驚きですね。

 

日本最古の櫛(くし)ということですから、装飾品。

いわゆる、おしゃれのための色彩です。

 

普通、「赤」と言えば鳥居の赤のような、「信仰心」を連想させる色彩ですが、

 

この漆塗りの赤色を見ている限り、縄文時代の人にとって、

 

この赤い色彩は、現代の私たちに通じる、「オシャレとしての赤」であったように感じられます。

 

実際、このような彩色された櫛は、かなりの頻度で見られるそうです。

 

 

  

 

 

今と同じように、

「すべての女性が、美しく着飾っていた」と考えられています。

 

 

女性のおしゃれは、平和の時代のシンボル。

 

 

 

 

さて、下のガチンコ勝負のポスターをご覧ください。

 

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色彩検定3級「ファッション配色」

問題12-B
問題12-B

【問題】

問題12-Bの写真に関する記述として、最も適切なものを1つ選びましょう。

 

 

①トーンに対照性がある配色である。

②強烈な補色色相配色である。

③色相に共通性がある配色である。

④中間色同士の配色である。


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黄色いベスト運動(パリは燃えているか!)

パリ中心部でデモを行うイエローベスト(2018年12月1日) ロイター通信写真
パリ中心部でデモを行うイエローベスト(2018年12月1日) ロイター通信写真

「黄色いベスト運動 」をご存知ですか?

フランスで、2018年11月17日から発生している政府への抗議活動のことです。

 

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チューリップフィーバー〜肖像画に秘めた愛〜

「チュリップフィーバー、肖像画に秘めた愛」という映画が

2018年10月6日(土)から全国で公開されます。

 

映画の予告編

http://tulip-movie.com

 

 

 

Q.

さて、17世紀のオランダといえば何を連想しますか?

 

 

1.チューリップ

2.レンブラント

3.フェルメール

4.ゴッホ

 

 

 

 

A.

1.正解

2.正解

3.正解

4.不正解

ゴッホは19世紀のオランダ生まれの画家です。

 

 

17世紀のオランダは黄金時代、球根ひとつの値段が邸宅一軒分の価値になったという、17世紀オランダの 「チューリップバブル」を背景に、豪商の若き妻と無名の青年画家の許されざる愛の行方を、映画化しています。

 

 

そんな好景気のなか、豊かな中産階級に支えられて、レンブラントやフェルメールといった大画家が誕生します。

美術の様式では「バロック」と呼ばれます。

特に、レンブラント(1606-1669)はその最盛期。

26歳年下のフェルメール(1632-1675)の晩年は、オランダの勢いもやや陰りを見せ、それに伴い筆力も陰りを見せたとも言われています。

 

芸術も経済的な繁栄に支えられてこそ、開花するものなのですね。

 

 

 

 

ヒロインが手紙を読む姿は、フェルメールをの作品でよく描かれた構図です。

映画の中でも、ヒロインが手紙を読むシーンが出てきます。

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黒海とエーゲ海

雨の多い黒海
雨の多い黒海

黒海(こっかい)は、なぜ黒い海と呼ばれるのでしょうか?

 

英語でも Black Sea(黒い海)と呼ばれます。

太陽燦々のエーゲ海
太陽燦々のエーゲ海
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色彩のみによる商標登録3番目は三井住友「セブン-イレブン」

色彩の商標登録の3つ目は三井住友フィナンシャルグループによるグリーン系の色合いです。 

確かに、三井住友銀行を探すときはこの色合いの看板を探します。

また、もし、無関係の企業が同じ配色で商売をしたら、三井住友系グループの会社と勘違いするかもしれません。

 

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色彩世界の大変革を成し遂げたウィリアム・パーキンとモーブ

ウィリアム・パーキン 合成染料 モーブ
モーブの発見者ウィリアム・パーキン

 

 

 

 

 

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パウルクレーを知っていますか。

パウルクレーについて、次のどれでしょうか?

 

1.画家である。

2.音楽家である。

3.バウハウスの先生である。

 

 

 

 

 

 

 

1.2.3の全て正解。

 

パウルクレーは、スイス出身のドイツ人画家です。

クレーは画家であり、音楽家であり、バウハウスでも教鞭をとりました。

 

 

幼い頃より、ヴァイオリンに親しみ、その腕前はプロ級だったと言います。

特に、音楽性を絵画に取り込んだ絵画を多くのこしています。

 

 

 

 

 

ヴァイオリニストでもあったクレーは、ヴァイオリンを弾きながら、その弓の先端が動く軌跡に興味を持ったり、楽譜を図形のように捉えるなどしています。

クレーは、これらの音楽的体験を視覚化し、「音楽を描いた」と言われています。

曲を弾きながら、幾何学的な画面構成(コンポジション)を探求したのです。

 

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色彩検定3級「色相・明度・彩度」

問題A

 

次のなかで、色相が同じ色の組み合わせを1つ選びましょう。

 

 

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色彩検定2級「配色技法」

【問題A】

このコーディネートに関する記述として、最も適切なものを1つ選びましょう。

 

 

1.

フォカマイユ配色

 

2.

トーンのグラデーション配色

 

3.

ドミナントカラー配色

 

4.

ドミナントトーン配色

 

 

 

**

 

1.

上・下(トップとボトム)は同じ黄系統ながら、明暗の差もあるので、フォカマイユ配色とは言い難い。

フォカマイユ配色とは近似した色の組み合わせである。

 

 

2.

ほぼ2色がメインの配色で、グラデーション配色ではない。

グラデーション配色とは、規則的に変化する組み合わせである。

 

 

3.

上下とも黄系統なので、ドミナントカラー配色である。

 

 

4.

色調(トーン)が統一していないので、ドミナントトーン配色ではない。

 

 

 

【答えA】

3.

ドミナントカラー配色

 

 

 

 

 

 

 

 【問題B】

 次のコーディネートに関する記述として、最も適切なものを1つ選びましょう。

 

1.

トーンオントーン配色

 

 

2.

ビコロール配色

 

 

3.

トーナル配色

 

 

4.

ダイアード配色

 

 

 

 

 

 

**

 

 

1.

黄と黒の組み合わせだが。黒は無彩色なので、色相を揃えたトーンオントーン配色ではない。

 

 

2

黄と黒は明度・彩度ともコントラストのある組み合わせで、ビコロール配色である。

ビコロール配色とは、明快な2色配色である。

ビコロールのビ(bi)は2の意味。

 

 

3.

トーナル配色とは、中間色の組み合わせ。

中間色とは、グレイを含んだ鈍い色調の色のこと。

この着こなしは、全体がはっきりと陽気な印象であり、鈍い色調のトーナル配色ではない。

 

 

 

4.

ダイアード配色は、補色色相配色のこと。

 

 

 

【答えB】

 

2.

ビコロール配色

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色彩検定2級「トライアド配色」

4パターンの配色イラストが提示され、その中から、トライアド配色を1つ選ぶ問題です。

 

類似問題が出題されています。

【問題A】

 

この鞄の配色は、トライアド配色ですか?

 

 

 

 【解説A】

(上)ベージュ

=極めて明るいグレイみを帯びた橙色

 

(中)オレンジ(橙色)

 

(下)ブラウン

=茶色=暗い橙色

 

の3色配色です。

 

3色は、明暗差も大きい、まったく異なる色なのに、統一感があるのは、色相が揃っているから。

 

 

 

トライアド配色とは、色相が3分割された配色。

 

色相が揃った配色はトライアド配色ではありません。

 

 

 【答えA】

 トライアド配色ではない。

 

 

 

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色彩検定3級「ファッション配色」

【問題A】

この写真に関する記述として、最も適切なものを、それぞれ1.2.3.4.からひとつ選びましょう。

 

1.

セパレーション配色である。

 

2.

同一色相配色である。

 

3.

対照色相配色である。

 

4.

同一トーン配色である。

【解説A】

 

1.

セパレーションは、色と色を分離するもので、この写真は、そのような配色ではなく、×。

 

2.

この写真は赤、ピンク、白っぽい色であり、ややオレンジピンクのような色も見えるが、この種類のファッションの問題は、厳密である必要はないので、おそらく◯。  

(他に、明らかな正解の文があるかを検討)

 

3.

全体に赤っぽい色みばかりなので、対照色相配色ではない×。

 

4.

濃い色、うすい色だあるので、同一トーン配色ではなく、×。

 

 

【答えA】

 

2.

同一色相配色である。

 

 

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色彩検定2級「ファッション配色」

【問題A】

この写真に関する記述として、最も適切なものを、1.2.3.4.からひとつ選びましょう。

 

1.

バックを除くと明度のグラデーションになっている。

 

2.

バックを除くとモノトーン配色になっている。

 

3.

バックを除くと彩度のグラデーションになっている。

 

4.

ペンタード配色である。

 

 

【問題A】の解説

 

1.

グラデーションとは、次第に変化する配色のことで、この写真には当てはまらず×。

 

2.

白・黒・グレイはモノトーン配色なので◯。

 

3.

そもそもグラデーション配色ではなく×。

 

4.

ペンタード配色は、いろいろな色相からなる配色なので×。

 

 

 

【問題A】の答え

2.

モノトーン配色である。

 

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混色3級(色フィルターの問題)

問題

 

マゼンタの色フィルターと、シアンの色フィルターを重ね合わせて、白色光を観察した時に見える色を次から選びましょう。

 

 

選択肢

 

1.

グリーンである。

 

2.

シアンである。

 

3.

レッドである。

 

4.

ブルーである。

 

 

***

 

解説(考え方1)

 

色フィルターは、

特定の光を吸収します。

 

マゼンタの色フィルターは緑色を吸収します。

緑(波長の光)を吸収して、波長と波長の光はそのまま通り抜けます。

 

 

シアンの色フィルターは緑色を吸収します。

赤(波長の光)を吸収して、波長と波長の光はそのまま通り抜けます。

 

 

マゼンとシアンの色フィルターが重なったとことは、

波長の光(緑)と

波長の光(赤)を

吸収するので、

 

波長の光(青)だけが通り抜け、青く見えます。

 

 

答え(考え方1)

4.

ブルーである。

 

 

 

 

 

 

 

マゼンタ(赤紫)が、緑を吸収する色材であることを、理解しましょう。

 

緑色を吸収するから、赤紫に見えるのです。

(緑と赤紫は補色関係)

 

 

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色相を知る、色の表示

色の基本について次の問いに答えましょう。

語群a.b.のいずれかを選びましょう。

 

 

【問題A】

 

一定の物差しで色を尺度化した表色系を何という?

 

a.顕色系

 

b.混色系

 

 

【答えA】

a.顕色系

 

 

【解説A】

 

色を顕(あらわ)す

=実際の色があって、見た目に等間隔に尺度化。

 

 

混色系

=混色の理論に基づいて尺度化。

=実施の色を見ての尺度化ではない。

 

 

 

 

━━

 

【問題B】

 

「水色」の色相はどっち?

 

a.緑みの青

 

b.赤みの青

 

 

【答えB】

a. 緑みの青

 

 

【解説B】

「緑みの青」の色相は、最もクールな印象。

水の冷たさをイメージする色み。

 

 

━━

 

 

【問題C】

 

「オリーブ色」の色相はどっち?

 

a.黄

 

b.緑

 

【答えC】

a.黄

 

 

【解説C】

ファッションの定番色の1つ「オリーブ色」は、「暗い黄色」。

 

 

 

━━

 

 

【問題D】

 

「オリーブグリーン」の色相はどっち?

 

a.黄緑

 

b.緑

 

【答えD】

a.黄緑

 

 

【解説D】

オリーブ =暗い黄色。

 

オリーブグリーン=暗い黄緑。

 

ダークグリーン=暗い緑。

 

 

━━

 

 

【問題E】

 

「シアンブルー」の色相はどっち?

 

a.緑みの青

 

b.青

 

【答えE】

a.緑みの青

 

 

【解説E】

シアンブルーは色料の三原色の1つ。

最もクールな色相。

色相番号16と覚えておこう。

 

 

 

━━

 

 

【問題F】

 

「コバルトブルー」の色相はどっち?

 

a.緑みの青

 

 

b.青

 

【答えF】

b.青

 

象徴主義とコンプレックス配色とムンク

 

↑ この絵は

エドヴァルド・ムンクが29歳の時に描いたものです。

 

ムンク(1863-1944)は、「叫び」でよく知られたノルウェーの画家ですね。

 

「叫び」同様、ムンクの絵には、「不安」や「絶望」「死」の影が潜んでいるものが多いのですが、この作品にも、どことなく「不安感」が漂っています。

 

 

モチーフの捉え方もさることながら、画面全体を閉める藤色がかった青色は、爽やかというよりも、神秘的ですね。

 

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色彩検定3級「色相・明度・彩度」

問題A

 

次のなかで、色相が同じ色の組み合わせを1つ選びましょう。

 

 

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色彩検定2級「配色技法」

【問題A】

このコーディネートに関する記述として、最も適切なものを1つ選びましょう。

 

 

1.

フォカマイユ配色

 

2.

トーンのグラデーション配色

 

3.

ドミナントカラー配色

 

4.

ドミナントトーン配色

 

 

 

**

 

1.

上・下(トップとボトム)は同じ黄系統ながら、明暗の差もあるので、フォカマイユ配色とは言い難い。

フォカマイユ配色とは近似した色の組み合わせである。

 

 

2.

ほぼ2色がメインの配色で、グラデーション配色ではない。

グラデーション配色とは、規則的に変化する組み合わせである。

 

 

3.

上下とも黄系統なので、ドミナントカラー配色である。

 

 

4.

色調(トーン)が統一していないので、ドミナントトーン配色ではない。

 

 

 

【答えA】

3.

ドミナントカラー配色

 

 

 

 

 

 

 

 【問題B】

 次のコーディネートに関する記述として、最も適切なものを1つ選びましょう。

 

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色彩検定2級「トライアド配色」

4パターンの配色イラストが提示され、その中から、トライアド配色を1つ選ぶ問題です。

 

類似問題が出題されています。

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色彩検定3級「ファッション配色」

【問題A】

この写真に関する記述として、最も適切なものを、それぞれ1.2.3.4.からひとつ選びましょう。

 

1.

セパレーション配色である。

 

2.

同一色相配色である。

 

3.

対照色相配色である。

 

4.

同一トーン配色である。

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色彩検定2級「ファッション配色」

【問題A】

この写真に関する記述として、最も適切なものを、1.2.3.4.からひとつ選びましょう。

 

1.

バックを除くと明度のグラデーションになっている。

 

2.

バックを除くとモノトーン配色になっている。

 

3.

バックを除くと彩度のグラデーションになっている。

 

4.

ペンタード配色である。

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象徴主義とコンプレックス配色とムンク

 

↑ この絵は

エドヴァルド・ムンクが29歳の時に描いたものです。

 

ムンク(1863-1944)は、「叫び」でよく知られたノルウェーの画家ですね。

 

「叫び」同様、ムンクの絵には、「不安」や「絶望」「死」の影が潜んでいるものが多いのですが、この作品にも、どことなく「不安感」が漂っています。

 

 

モチーフの捉え方もさることながら、画面全体を閉める藤色がかった青色は、爽やかというよりも、神秘的ですね。

 

 

 ここで述べている

「不調和の調和」とは、調和の中でも、安定した調和ではなく、どことなく不安定感を持った調和、

つまり、配色技法のコンプレックスハーモニーのことです。

 

 

コンプレックスハーモニー(コンプレックス配色)について次に、復習しておきましょう。

 

色相環を見ればわかるように、

 

黄色は本来、明るい色

 

それに対して、青や青紫は本来、暗い色になります。

 

これが自然の摂理です。

 

黄→橙→赤の順に暗くなり、

 

黄→緑→青の順に暗くなる、

のです。

 

これに対し、

黄色なのに暗く、青なのに明るい色の組み合わせは、

自然の摂理に反することになります。

 

これがコンプレックスハーモニーです。

 

 

 

さて、ムンクの絵画は「象徴主義」と言われていますが、

「象徴主義」とは何でしょうか?

 

 

 「象徴主義」とは

自然主義と対照的に、物事を忠実に描かず、

魂を表現したり、印象や感覚を探求するもの。

その魂の表現に「色彩の効果があります。

 

 

では、

ムンクの絵の色彩について象徴主義の観点から見ると、

 

ムンクの深層心理を表すように、

緑や紫が多い点が挙げられます。

(緑と紫はともに中性色で、病的な心や体が欲する色です)

 

 

また、

ムンクの絵画には、上の例のように、

コンプレックスハーモニーが見られます。

 

 

 

コンプレックスハーモニーとは、

黄色は明るい色で、青っぽい色は本来暗い色というのが「自然の摂理」。

その自然の摂理に逆らった配色がコンプレックスハーモニーです。

 

明るい青や、明るい青紫(藤色系)と

暗い橙(茶色)は、コンプレックスハーモニーになりやすい組み合わせです。

 

 

 

 


次は、ムンク晩年の作品です。

 

 

 

さて、

緑と紫について復習しましょう。

 

緑=黄(暖色系)+青(寒色系)

 

紫=赤(暖色系)+青(寒色系)

 

です。

 

緑と紫は、暖色と寒色という相対する性質を内包する複雑な色です。

 

人は年老いたり、

 身体が疲れたり、

  心が病んだりすると、

 緑や紫に惹かれます。

 

 

コンプレックスハーモニーに加えて、緑や紫が、ムンクの絵画に与える効果を感じてみましょう。、

 

 

 


 

さて、緑と紫が反対色であることは、すぐわかりますか?

 

色相番号を覚えておくといいです。

 

緑(色相番号12)と

紫(色相番号22)は反対色であり、

2色の組み合わせは

コントラストのある配色となっています。

 

 

「コントラストのある配色」の場合、

 

オレンジ系と青系(暖色系と寒色系)や

茶系と青系(暖色系と寒色系)や

黄系と青系(暖色系と寒色系)や

赤系と緑系(暖色系と寒色系)

 

など、「暖色+寒色」だけではなく、

 

緑系と紫系の

「中性色+中性色」があることを知っておきましょう。

 

世俗離れした、

良く言えば、神秘的な

悪く言えば、病的な

 

イメージになります。

 

 

 

 

すべての女性が、美しく着飾っていた

日本最古の櫛(赤色漆塗:縄文前期8000年前の赤)
日本最古の櫛(赤色漆塗:縄文8000年前の赤)

 

この「赤色漆塗り櫛」はなんと8000年前のものです。

 

歴史区分では「縄文時代」にあたります。

 

実に美しい漆塗りが施されていますが、

発見された瞬間は、もっともっと鮮やかな「真紅色」の櫛だったそうです。

 

そんな大昔に、これほどの彩色がなされたこと、

しかも、今も残っていることが驚きですね。

 

日本最古の櫛(くし)ということですから、装飾品。

いわゆる、おしゃれのための色彩です。

 

普通、「赤」と言えば鳥居の赤のような、「信仰心」を連想させる色彩ですが、

 

この漆塗りの赤色を見ている限り、縄文時代の人にとって、

 

この赤い色彩は、現代の私たちに通じる、「オシャレとしての赤」であったように感じられます。

 

実際、このような彩色された櫛は、かなりの頻度で見られるそうです。

 

 

  

 

 

今と同じように、

「すべての女性が、美しく着飾っていた」と考えられています。

 

 

女性のおしゃれは、平和の時代のシンボル。

 

 

 

 

さて、下のガチンコ勝負のポスターをご覧ください。

 

国立科学博物館 縄文時代
平成17年国立科学博物館ポスター「縄文vs弥生」

左の黒地に装飾の多い女性が縄文スタイル、

 

右の白っぽく、簡素なのが、弥生スタイルです。

 

モデルの顔も、縄文っぽいモデルさん、弥生っぽいモデルさんを選んでいるようです。

 

時代を下った弥生時代の方が、簡素になったことだわかりますね。

 

 

弥生時代には、渡来人が加わり、争いがやや見られるようになったといいます。

その分、おしゃれする余裕がなくなり、風俗は簡素に、土器も簡素になったとされます。

 

 

 

縄文vs弥生(ファッション、顔立ち)
縄文vs弥生(ファッション、顔立ち)
縄文時代のファッション
縄文時代のファッション

これは縄文時代の女性のファッションです。

 

特徴的なのが、女性の装飾品が多いことです。今よりずっと多い。

 

装飾品・・

 

耳飾り(イヤリング)、首輪(ネックレシス)、腕輪(ブレスレット)など・・・

 

耳飾り(イヤリング)は大きく、繊細な彫刻が施され、

首輪(ネックレス)は複雑に加工され、ヒスイや大珠で彩られ、

腕飾り(ブレスレット)は、貝殻の裏側を表にした加工、

このまま現代社会でも立派に通用する装飾品ですね。

 

 

 

服装・・

 

極彩色の美しい模様が描かれています。

男性の装身具が腰飾りだけに限られいるのに対し、女性は、実にカラフルに彩られています。

 

特定のシャーマンの女性だけが、ガチャガチャに着飾っていた、というのではありません。

出土品の数の多さからみて、10~200戸くらいの集落で、

 

特定の、たとえばシャーマンだけががカラフルな装飾品をまとっていたとは言い難いのです。

つまり、すべての女性が、美しく着飾っていた、ということです。

 

 

女性が美しく着飾れるというのは、いいかえれば女性がとても大切にされてる社会だったということです。

色彩検定3級「ファッション配色」

問題12-B
問題12-B

【問題】

問題12-Bの写真に関する記述として、最も適切なものを1つ選びましょう。

 

 

①トーンに対照性がある配色である。

②強烈な補色色相配色である。

③色相に共通性がある配色である。

④中間色同士の配色である。


【解説】

写真を「ぱっと見た印象」を大事にしましょう。

 

トップスはライトグレイッシュトーン(明るい灰みの色調)、ボトムはグレイッシュトーン(灰みの色調)ですね。トーン名までは判別できなくとも、少なくとも上下とも、くすんだ低彩度の色であることは見当がつくでしょう。

つまり「トーンに対照性がある」は誤り。

 

トップスは青紫、ボトムは黄、で補色色相ですが、上下とも低彩度なため、ぱっと見にはメリハリはなく、強烈なコントラストではないので、「強烈な補色色相」は誤り。

 

③黄と青紫の補色色相配色なので「色相に共通性がある」は誤り。

 

④上下とも「くすんだ色調の色」なので「中間色同士の配色」は正しい。

 

 

【解答】

④(中間色同士の配色である)が正解

黄色いベスト運動(パリは燃えているか!)

パリ中心部でデモを行うイエローベスト(2018年12月1日) ロイター通信写真
パリ中心部でデモを行うイエローベスト(2018年12月1日) ロイター通信写真

「黄色いベスト運動 」をご存知ですか?

フランスで、2018年11月17日から発生している政府への抗議活動のことです。

 

機動隊の盾は、抗議者がかけた黄色い塗料で染まった(2018/12/1、パリ)
機動隊の盾は、抗議者がかけた黄色い塗料で染まった(2018/12/1、パリ)

 

「黄色ベスト」は車が路上で故障して車外に降りる時、事故を防止するため着用が義務付けられているベストです。

2008年以降、すべての運転手が車に積んでいて、「黄色ベスト」は車の運転を生業にする労働者のシンボルでもあります。

 

その現場で働く人々が、最も視認性(しにんせい)の高い「黄色」のベストを着て、政府への抗議行動が広まり、一種のテロにも似た暴動に発展しました。

 

 

革命には、シンボルになる色彩が必要です。

 

フランス革命では、赤・白・青の三色旗が掲げられ、それが、現在のフランス三色旗となっています。

 

ロシア革命は赤、中国共産党も赤、多くの血が流れる革命には、最も過激で、最も暴力的な、赤い色彩が選ばれます。

 

今回のフランス・デモは、赤の手前の黄色。革命前夜(ややおとなしめ)でしょうか。

 

 

赤は血や火から「危険」を連想し、

黄色は暗い所でも良く見えるため「注意」を連想します。

 

ちなみにJISでは、下記のように、安全色を規定しています。

 

 ***

 

赤は 禁止、停止、危険、緊急

黄は 警告、注意 

緑は 安全、進行 

青は 誘導 

紫は 放射能

 

***

 

今回の騒動は「フランス版、黄巾の乱」とも呼ばれています。

 

中国の三国志にある農民反乱が、目印に黄巾と呼ばれる黄色い頭巾を頭に巻いた事から、名づけられた黄巾の乱(こうきんのらん)になぞらえています。

 

チューリップフィーバー〜肖像画に秘めた愛〜

「チュリップフィーバー、肖像画に秘めた愛」という映画が

2018年10月6日(土)から全国で公開されます。

 

映画の予告編

http://tulip-movie.com

 

 

 

Q.

さて、17世紀のオランダといえば何を連想しますか?

 

 

1.チューリップ

2.レンブラント

3.フェルメール

4.ゴッホ

 

 

 

 

A.

1.正解

2.正解

3.正解

4.不正解

ゴッホは19世紀のオランダ生まれの画家です。

 

 

17世紀のオランダは黄金時代、球根ひとつの値段が邸宅一軒分の価値になったという、17世紀オランダの 「チューリップバブル」を背景に、豪商の若き妻と無名の青年画家の許されざる愛の行方を、映画化しています。

 

 

そんな好景気のなか、豊かな中産階級に支えられて、レンブラントやフェルメールといった大画家が誕生します。

美術の様式では「バロック」と呼ばれます。

特に、レンブラント(1606-1669)はその最盛期。

26歳年下のフェルメール(1632-1675)の晩年は、オランダの勢いもやや陰りを見せ、それに伴い筆力も陰りを見せたとも言われています。

 

芸術も経済的な繁栄に支えられてこそ、開花するものなのですね。

 

 

 

 

ヒロインが手紙を読む姿は、フェルメールをの作品でよく描かれた構図です。

映画の中でも、ヒロインが手紙を読むシーンが出てきます。

映画のヒロインと同じ青いドレス。

 

フェルメールといえば、この青です。

 

さて、問題です。

 

Q.

なぜ、フェルメールは青いドレスの女性を描いたのでしょうか?

 

 

1.

フェルメールが青が好きだったから

2.

モデルの女性が青が好きだったから

3.

モデルの女性が青いドレスしか持っていなかったから。

4.

青い色が一番高価だったから。

 

A.

 

 

4.

青い色が一番高価だったから。

 

 

青い顔料は、ラピスラズリという宝石のごとき高価な鉱物から得られる青色顔料で、あらゆる顔料(絵の具)の中でもっとも高価でした。

 

そのため、絵の注文主は画家に「ラピスラズリを使用すること」という契約を交わすこともありました。

フェルメールは伯母が裕福であったため、その資産によって、青い絵の具を使うことができたと言います。

 

フェルメールが用いるラピスラズリの青が印象的であったため、これを後に「フェルメールブルー」と呼んだりします。

 

 

 

追記)

高価な色といえば「紫」を連想する人もいるでしょうが、紫は染料の色(染色して得られる色)として、高価です。

ラピスラズリは顔料の色(絵の具の色)です。

 

つまり、服の色は染料の色。

絵の具の色は顔料の色

 

です。

 

黒海とエーゲ海

雨の多い黒海
雨の多い黒海

黒海(こっかい)は、なぜ黒い海と呼ばれるのでしょうか?

 

英語でも Black Sea(黒い海)と呼ばれます。

太陽燦々のエーゲ海
太陽燦々のエーゲ海

海が黒いわけではないでしょうが・・?

エーゲ海や地中海のような青々とした海と比べたら、雨も多く、どんよりとしたところから名付けられたのでしょうか。

 

黒海と名付けたのは、貿易をしにやってきた古代ギリシア人だったという説があります。

 

 

紀元前、地中海を望む古代ギリシアの島々は、滅多に雨が降ることはなく、いつも太陽が燦々と、海は青々としていました

 

乾いた大地で、良質のぶどうから、美味しいぶどう酒を生成し、

オリーブの木から、オリーブオイルや実を得ました。

 

葡萄酒とオリーブの実だけでは、お腹がいっぱいになりません。

乾いた土地で「小麦」ができなかったのです。

 

そこで、海洋貿易が得意な古代ギリシア人たちは、

黒海の都市、今のウクライナの辺りと、貿易を始めます。

 

青い海を見慣れた古代ギリシア人にとって、

より北に位置し、雨が多く、どんよりとした気候の海は、黒っぽく見えたのです。

 

 

 

 

ちなみに地中海はトルコ語でアク・デニズ(白い海)と言います

ブルガリア語ではエーゲ海が Бяло море(白海) です。

これらは「黒海」に対比させた呼び方でしょう。

 

 

黒や白が、いわゆる現代の彩色での白・黒ではなく、

光の当たり方や、心情を表しているのは、

古今東西同じなのですね。

黒海の地図
黒海の地図
紅海
紅海

さて、黒海のもっと南に、紅海(こうかい)という海があります。

ギリシャ語の直訳です。

 

一説には、昔から方角を色分けして考える哲学があり、

例えば北の黒海、

南の赤海となった

という説があります。

 

 

 

東洋の五行説にも、

北ー黒

南ー朱

東ー青

西ー白

中央ー黄色

 

という考え方がありました。

 

これらの2つ考え方

①エーゲ海と比べて、暗くどんよりしているから、黒海と呼んだ。

②昔から、北は黒と呼ばれた。

 

は、別の説ではなく、根っこは同じなのかもしれません。

 

①のケースが自然界に多いから、②の「方向と色を結びつける」ようになったのかもしれません。

 

 

色彩のみによる商標登録3番目は三井住友「セブン-イレブン」

色彩の商標登録の3つ目は三井住友フィナンシャルグループによるグリーン系の色合いです。 

確かに、三井住友銀行を探すときはこの色合いの看板を探します。

また、もし、無関係の企業が同じ配色で商売をしたら、三井住友系グループの会社と勘違いするかもしれません。

 

「トンボ鉛筆」と同時に登録された日本初の色彩商標は、セブン-イレブンの「白地にオレンジと緑、赤のストライプ」の配色デザインです。

看板などによく使われ、街のあちこちで見かける、親しんだ配色ですね。


この色の組み合わせは、人の気分をどことなく、ウキウキと、楽しくさせてくれるのではないでしょうか。ある種の高揚感さえ感じさせてくれます。

 

さて、改めて色彩の意味、配色の意味を探ってみましょう。

 

【ビビッドな赤】の効果

1.目立つ色(誘目性が高く、どこにいてもセブン-イレブンが目に入ってきくる)。

2.美味しそうに見える(赤×白のテーブルクロスの例のように、食欲を刺激する色である)。

3.高揚感のある色(店舗に入らせる、買い物をする、という活力をそそぐ色のパワーがある)。

4.嗜好性が高い。赤を嫌いと思う人は少ない。

 

【ビビッドな橙】の効果

1.欲望や物欲など「欲」と関連がある。欲求不満で何か欲しい時、人は「橙色」に惹かれる。つまり、衝動買いをイメージさせる色。

2.明るく晴やかな気分にさせる色。

 

【深みのある緑】の効果

1.自然や安全を連想させる色。

2.赤とは補色関係になり、互いの色を引立てる。

 

 

【白】の効果

1.清潔感がある

2.ビビッドな3色が、白のセパレーションカラーを介して、それぞれ最大限に踊っているように見えます。

3.嗜好性が高い。嫌いな人はいない色。

 

**

 

暖色:赤と橙の2色。

寒色:ナシ(★緑は寒色ではありません)

中性色:緑の1色。

 

以上、注目したいのが、寒色を用いていない点です。

 

カラフルな配色を考えるとき、ブルー系を入れたり、赤紫系(ピンクを含む)を入れたりする事が多いのですが、セブン-イレブンの配色は「寒色を用いない=青い要素を含まない」という特徴があります。

 

青は、心が沈む感じ、エネルギーが高まらない色であり、お財布の紐をきゅっと締めてしまいかねません。

理性的な色である点からも、衝動買いの効果が無いのです(青の補色であるオレンジ色は、最も衝動買いをイメージさせる色)。

 

 

 個人的な意見では、数あるコンビニ・チェーンの中でも、「セブン-イレブンの配色」がNo.1だと思っています。

 

 

さて、他のコンビニ・チェーンの配色も見ていきましょう。

 


ローソンの看板、ロゴマーク
ローソンの看板、ロゴマーク

ローソンのマークは、アメリカ合衆国の牛乳屋「ローソン」に由来があるようです。牛乳屋さんであったために、ロゴにはミルクが描かれています。

爽やかな青と白で、「新鮮な乳製品、ミルク」を連想させます。

 

空が美しいところでは、爽やかな印象がとても好感が持てますが、街並がゴチャゴシャした都会では、セブン-イレブンの配色に比べて「ウキウキ感」は少ないように思います。

ブラウン系のローソンは高級感が漂います。

 

茶色

1.茶色は高級感がある色。

2.お腹が空くと綺麗に見える色。

 

 

 

1.清潔感など効用多数。

2.茶色の高級感を薄める役目(何万もお金を使う高級店ではないため、白と組み合わせて、高級感を、ほどほどに保っています。

 

 

色彩世界の大変革を成し遂げたウィリアム・パーキンとモーブ

ウィリアム・パーキン 合成染料 モーブ
モーブの発見者ウィリアム・パーキン

 

 

 

 

 

ウィリアム・パーキン(1838-1907)は、世界で初めて合成染料を発見した人物です。

まだ18歳(1856年)のとき、色彩史に残る大事件を成し遂げました。

 

ロンドンの王立化学大学の助手として、大学の休暇中、マラリアの特効薬キニーエの合成法を実験していました。

その最中に、誤って紫色の副産物を作ってしまいます。

 

パーキンは絵画や写真に興味があったため、この紫色の結果に強く引かれ、師匠ホフマンに内緒で実験を進めました。

 

 

そして、副産物として得た紫色が、絹を染める能力があり、耐候性もあり、紫色の染料になることに確信を持ったのです。

 

 

 

当時のヨーロッパでは紫色の染料は極めて高価な貝紫(かいむらさき)しかありませんでした。

その大変高価な紫色を実験室で、作り出せたことに興奮したパーキンは、特許を取得し、ホフマンの反対を押し切って1857年にこの染料を製造する工場を設立します。

 

 

1862年にはロンドン万国博覧会においてヴィクトリア女王は、パーキンが合成に成功したモーブの絹のガウンをまといました。短期間の間に、パーキンは科学者としての能力のみならず、実業家としても大成功を収めたのです。

 

 高貴な貝紫でなくても、簡単に鮮やかな紫色を得られることを実証したウィリアム・パーキンは、

「誰でも、自由に色を選択できる時代」への転換に貢献しました。

 

(ただし、間も無く、同じようなアニリン染料であるフクシンが直後に発見されました)。

モーブ パーキン 合成染料
モーブで染められた絹が同封されているパーキンの息子の手紙
合成染料モーヴ(紫色)
合成染料モーヴ(紫色)
京都服飾文化研究財団
京都服飾文化研究財団
合成染料自体が目新しく、当時、ブルジョア女性たちの心を捉えました。

パウルクレーを知っていますか。

パウルクレーについて、次のどれでしょうか?

 

1.画家である。

2.音楽家である。

3.バウハウスの先生である。

 

 

 

 

 

 

 

1.2.3の全て正解。

 

パウルクレーは、スイス出身のドイツ人画家です。

クレーは画家であり、音楽家であり、バウハウスでも教鞭をとりました。

 

 

幼い頃より、ヴァイオリンに親しみ、その腕前はプロ級だったと言います。

特に、音楽性を絵画に取り込んだ絵画を多くのこしています。

 

 

 

 

 

ヴァイオリニストでもあったクレーは、ヴァイオリンを弾きながら、その弓の先端が動く軌跡に興味を持ったり、楽譜を図形のように捉えるなどしています。

クレーは、これらの音楽的体験を視覚化し、「音楽を描いた」と言われています。

曲を弾きながら、幾何学的な画面構成(コンポジション)を探求したのです。

 

パウルクレー「パルナッソスに」 1932年
パウルクレー「パルナッソスに」 1932年

新印象派の画家スーラやシニャックの「点描画」が、光の分解に主眼を置いているのに対し、クレーの点描画は、イタリア旅行で見た「モザイク」に影響を受けています。

小さな点の集まりで出来た太陽(1個の橙色の丸)は、画面全体に点在し、統一された色彩になっています。

パウルクレー「片翼の英雄」1905年
パウルクレー「片翼の英雄」1905年

音色とは「ねいろ」と読み、音と色との間には、何がしらの関係があるのでしょうか?

 

私たちの日常生活でも「黄色い声」という表現がありますね。甲高い子供や女性の声を形容する際に「黄色い」という色名が用いられています。音の高さと、明度が何がしらの関係性を感じさせますね。

 

 

もっとも「不適切な色」平昌オリンピック

平昌オリンピックの紫色

平昌オリンピックが終わりました。
日本選手の大活躍とともに、フェアな闘いぶりに感動しましたね。
さて、カラーリストとして気になった色彩は、フィギュアスケート、スピードスケートの会場の「紫色」です。
「紫」は色の中でも、最も使い方が難しく、はっきり申し上げて「本体、紫色はスポーツには適さない色」です。


なぜならば、紫色には「もっとも動きがない色」であり、
紫色は「もっとも病的な色」だからです。

進出色の赤と後退色の青を混色してできた紫色は、前にも後ろにも進めずに、止まった印象があり、昔からスポーツには使用されない色とされてきました。
しかし、最近ではサンフレッチェ広島や京都サンガ F.C.のユニフォームなどにも使われています。

一方、人は身体を病んだり、心を病んだりすると、「紫色」に惹かれるというのも、色彩心理の基本です。

本来はスポーツに適さない色でも、それを採用する人々の心が病んでくると、次第にスポーツ製品にも紫色が増えてくるでしょう。

プロスポーツに採用されはじめると、つい子供の用品にも取り入れてしまいかちですが、
紫色は最も病的な色であり、「元気いっぱいの子供」にも適さない色であることを心に留めておきましょう。

コーヒーブラウンvsココアブラウン

「茶色」には、さまざまな色があります。

「お茶」自体にも、ほうじ茶、煎茶、緑茶、抹茶、紅茶とさまざまな色がありますが、大雑把には、暖色系の暗い色全般をさします。

 

江戸時代には「百茶百鼠」と呼ばれる、多くの茶系、グレイ系の色が流行しましたが、

「◯◯茶」とは、暖色系で、低彩度や低明度の色、

「◯◯ねず」とは、寒色系あるいは無彩色で低彩度や低明度の色ととらえることができます。

 

 

さて、英語のブラウンですが、茶色ほどは色の範囲が広くはなく、

ブラウンは橙系の暗い色の総称」です。

 

ことに色調(トーン)について

コーヒーブラウンとココアブラウンについて考えてみましょう。

 


野獣派の好んだ色彩

アンリ・マティス「緑の筋のあるマティス夫人の肖像」1905年
アンリ・マティス「緑の筋のあるマティス夫人の肖像」1905年

この作品は、荒々しい色彩が大胆に配置された、野獣派(フォーヴィズム)時代の代表作です。

顔は左右の色が異なって、それぞれ背後の色面と呼応しています。

向って右側の顔は赤く、背後(左)の赤と対応、

顔の中心の緑色の筋は、背景や顔の赤と補色の関係にあるのです。

大胆な配色ながら、これらは決して”感情的”ではなく、”知的”に計算されている点が注目に値します。

 

しかも、これらの非現実的な色彩が、風景や静物ではなく「人間の顔」に用いられたことが衝撃的なのです。

 

顔の中心の緑は、背景の強烈な配色と均衡を保っていて、マティスが人物と背景を同等に扱った事がわかります。

 

 

黄色と青は補色関係。

 

赤と緑は補色関係。

 

顔の色彩、衣装の色彩、背景の色彩がそれぞれ対応しています。

物に特有の色彩という観念から離れ、色彩そのものが対応しあい均衡を保っているのです。

 

 

 ンリ・マティスHenri Matisse 1869-1954年) はフランスの画家。20世紀に流行したフォーヴィズム(野獣派)のリーダー的存在であった。

 

「色彩の魔術師」とも呼ばれ、パプロ・ピカソとともに、20世紀を代表する大画家である。

動物と色名(アイボリーやベージュ)

記憶色とは

写真やモニターの色を見たときに「色が違ってる!」と感じたことはありませんか。自分の「記憶の中にある色」と異なっていると判断した時、色が違っていると思うのです。

一般に、物の色は、白色光の下で見た色を記憶しています。記憶に基づいた色なので「記憶色(きおくしょく)」と呼んでいます。

 

 

Q.1

さて、記憶色を以下の中から選びましょう。

 

a.土の色

b,空色

c.肌の色

 

 

A,1

a.土の色 b.空色 c.肌の色のいずれも記憶色。

頭の中で、記憶している色ならばすべて、記憶色です。

人の顔色や果物の色、植物の色、土の色、空の色など、記憶色はたくさんあります。

 

 

Q2.

記憶色と実際の色の違いは、

a.同じである。

b.実際より高彩度になりやすい。

c,実際より低彩度になりやすい。

 

 

A.2

b..実際より高彩度になりやすい。

 

記憶色は、私たちの記憶の中で「変化する」ため、実際の色とは違っていることが多いものです。一般に実際の色よりも色みが強く(彩度が高く)記憶されています。

ただし、肌の色は例外で、実際よりも明るく、彩度は低く記憶されているのです。つまり、実際よりも色白に記録されているというわけです。

 

実際の空の色よりも、高彩度の青、低明度の青であるときに「空色らしい色」と思う。

 

ルノワール画
ルノワール画

肌の色は、他の記録色と異なって、実際の肌の色よりも、低彩度の色、高明度の色であるときに、肌色らしい色と思う。

 

そのために、ファンデーションの色は、実際の肌の色よりも明るく(高明度に)作られるのです。

ヨハネス・イッテン①絵画と色彩

 

「ヨハネス・イッテン」という名前を知っていますか?

生涯を通じて色彩の研究に尽くした人物です。

彼の「色彩と芸術」に総括されている色彩理論は、世界中に広がりました。

今回は、その一部を抜粋します。

 

 

色彩と芸術(序)

私は、色彩美術の問題に興味をもつすべてのひとびとに、参考になるような乗りものを作ろうと考えている。(略)単に客観的な色の原理や法則を解説するだけではく、色彩についての批判鑑賞というような主観的な分野についても研究し、探求をすすめようと思う。(略)

 

 

□ジョットは、形と色彩で人物の特徴を明確に描いた最初の画家たちであった。

 

ジョット「ユダの接吻」1304年
ジョット「ユダの接吻」1304年

 

 

 

□15世紀前半においてヤン・ファン・エイク兄弟は、表現すべき人物や静物を天然色で再現する模様の様式を開拓しだした。彩度と明度の調子を通じて、これらの天然色は、さながら目にみる自然の色のような色彩をもつ実際的な像を描きだした。

色彩は自然物をありのまま表現する手段になった。1434年にはじめてゴシックの肖像画を仕上げた。

 

ファン・エイク「アルノルフィーニ夫妻像」1434年
ファン・エイク「アルノルフィーニ夫妻像」1434年

 

 

 

□フランチェスカは、バランスのとれた補色ではっきりした輪郭と、明確に表現された面で人物を描いた。

 

 

フランチェスカ「モンテフェルトロの祭壇画」1472年
フランチェスカ「モンテフェルトロの祭壇画」1472年

オレンジと青の補色色相や、赤とピンクの同一色相など、明快な配色が繰り返されている。

 

 

ブラウン物語『あなたはコーヒー派?ココア派?』

コーヒーブラウンとココアブラウンの違いは?

さて、コーヒーブラウンと、ココアブラウン、どちらが好きですか。

そもそも、どう違うのでしょうか?

ブラウン(茶色)をこの2つのタイプのブラウンに大別することもできます。

 

さて、問題です。

 

[問題A] 正しい文に◯、誤りの文に×を付けましょう。

1.ブラウンは暖色である。

2.ブラウンは寒色である。

3.ブラウンは中性色である。

 

 

 

[答えA]

1.ブラウンは暖色である(◯)

2.ブラウンは寒色である(×)

3.ブラウンは中性色である(×)

 

 

[解説A]

ブラウンは暖色系である。ブラウンの底にある色は「橙色」です。

橙色を中心に、赤から黄にかけての暖色系が暗くなった色を、私たちは「ブラウン」とか「茶色」と呼びます。

 

 

 

[問題B] 正しい文に◯、誤りの文に×を付けましょう。

1.ブラウンは純色である。

2.ブラウンは明清色である。

3.ブラウンは暗清色である。

4.ブラウンは中間色である。

 

 

 

[答えB]

1.ブラウンは純色である(×)

2.ブラウンは明清色である(×)

3.ブラウンは暗清色である(◯)

4.ブラウンは中間色である(◯)

 

 

[解説B]

ブラウンは、暖色系の暗い色の総称です

 

暗いとは、黒い要素を含んでいるわけですが、dkトーンのように黒い要素のみを持つ「暗清色」と、

gトーンのようにグレイ(白+黒)の要素を持つ「中間色」の2つのパターンがあります。

 

■橙黒=コーヒーブラウン

 

 

 

 

 

 

 

コーヒーブラウンは、「黒だけを含む暗清色」です。

つまり、白を含まないので、かちっとしたブラウンになります。

 

 


■橙グレイココアブラウン

 

 

 

 

 

 

 

ココアブラウンは茶色のなかでも、グレイっぽく見える。つまり中間色の(グレイッシュな)ブラウンです。

 

この「グレイシュ」「グレイみの」は色のイメージおいて、しばしば大きな意味を持ちます。色は「グレイ」を含むと、途端に「上品に」なるからです。

 

上品に見せたいならココアブラウン、かちっとハードに見せたいならコーヒーブラウンになるでしょう。

 

因みに、PCCS(日本色研配色体系)の色記号では、

コーヒーブラウンはdk5(暗い橙)、

ココアブラウンはg2やg4(グレイみの赤みのブラウン)

で、色相もココアブラウンの方がやや赤みがかっていると定義されています。

 

コーヒーブラウンの中心は橙色、橙の色相は最もエネルギッシュで健康的な色相です。それに対して、ココアブラウンの中心は赤です。赤は健康的なイメージが減じて、女性らしさがアップします。

 

海老茶やボルドーなど赤茶が女性らしい茶系なのはそのためです。

 

配色 暗清色
コーヒーブラウンの着こなし

コーヒーブラウンは乾いた印象の茶色。上の写真では、ブラウンとの組み合わせが定番のベージュやアイボリー(★)を敢えて避けています。

ブラウンと黒の組み合わせで、粋な大人っぽさを演出しています。

暗い色だけなので重くならないように、下半身のシルエットをすっきりまとめています。

 

★ブラウンとベージュ、アイボリーは色相に共通性のあるトーン・オン・トーン配色になり定番。


配色 中間色 ブラウンの着こなし
ココアブラウンの着こなし

ココアブラウンはグレイの要素が入るため、ブラウンの中では、上品さや、女性らしさが演出しやすい色になります。

中間色(グレイを含んだ色)は上品さに必須の色調。

PCCSではgトーン(グレイッシュトーン)が中間色になります。

スカートのヒョウ柄を、gトーンの中におさめることで、下品になっていません。

 

 

 因みに、パーソナルカラーという似合う色診断では、コーヒーブラウンは秋系、ココアブラウンは夏系に分類されています。

周りの茶色を「暗清色」と「中間色」に分類してみましょう。

 

gトーンの茶系は、すべて中間色。

dkトーンの茶系は、すべて暗清色。

dkgトーンの茶系は、本来「暗いグレイみ」なので、グレイの要素を帯びた中間色のはずですが、暗過ぎてグレイの要素を感じにくいため、暗清色のような印象があります。

dkgトーンの色は全般に、「黒」に近い、黒の代わりになる定番色として、誰でも着こなすことのできる、重宝な色調です。

 

 

ブラウン物語②『セピア色の思い出』

茶色にはさまざまな色があります。江戸時代には、微妙に異なるいろいろな茶色を百茶百鼠(ひゃくちゃひゃくねず)と呼びました。

百は、たくさんの〜という意味。茶色や鼠色の微妙な色の差を楽しみ、粋に着こなした江戸文化の高さを象徴する言葉の1つです。

 

 

さて、茶色・鼠色は以下のように定義することができます。

◯茶色は、暖色系の黒を含んだ色

◯鼠色は、寒色系〜無彩色の黒を含んだ色

 

色みの弱い色で、暖色系が茶系、寒色系が鼠色と捉えるのです。

 

 

 

セピア色
セピア色は色褪せた写真のイメージ

 

 

[問題A]

 

セピア色についてJISで定義された慣用色名は、どれでしょう。

1.ごく暗い赤みの黄

2.うすいベージュ

3.くすんだ赤みの黄

 

[答えA]

 

1.ごく暗い赤みの黄

 

[解説A]

セピア色は「セピア色の写真」という表現で誤解されやすい色名の1つです。実際には黒に近いほどの暗い茶色です。

 

 

 

 

[問題B]

 

セピア色についてマンセル値は、どれでしょう。

10YR 3/2.5

10YR 7/2

10YR 3/12

 

[答えB]

 

10YR3/2.5

 

[解説B]

マンセル表記は 色相 明度/彩度 です。

10YRは、YR(黄赤)を示しています。

明度3は暗めの色。黒=明度1 白=明度9

彩度2.5は無彩色に近い。彩度0=無彩色

 

 

 

[問題C]

 

セピアの本来の意味として正しいのはどれでしょうか。

 

1.セピア=思い出の

2.セピア=古新聞のインクの

3,セピア=イカスミのような

 

 

 

[答えC]

 

3.セピア=イカスミのような

 

 

 

セピア イカスミ
イカ墨=セピア

 

セピアとはイカスミのことです。

 

古くから、耐水性のあるイカ墨がインクや染料として使われ、近世に化学的に合成した顔料が西洋に広まり、やがて、その顔料の色を指す言葉として『セピア』が定着しました。

 

 

茶色の基準は、dk5=暗い橙

焦茶の基準は、dkg6=かなり暗い橙

 

黒に近い茶色で「セピア」も同じような色です。

 

 

 

セピア 新聞インク
セピアは元々新聞のインク

 

19世紀末頃から、新聞や雑誌などの印刷にセピアのインクが使われるようになりました。初期のモノクロ写真が現像され始めたのもこの頃で、日光の紫外線などによって退色したインクの色みもセピアと呼ばれるように。「セピア調」という言葉は経年劣化した写真の色が由来します。

 

チョコレート色」も黒に近い茶色ですが、セピア色よりやや赤みが強いダークブラウンになります。

 

 

アダムとイヴの林檎は?

冬の果物の一つにリンゴがありますね。良くスーパーの店頭で見かけるジョナゴールドなど、冬の長い期間、新鮮な状態で販売される品種もあります。日本では「リンゴの色といえば?」という質問に、ほとんどの人が「赤」と答えますが、国によっては、リンゴといえば「緑」と答える人も多いようです。

 

アップルグリーン (apple green) とは、緑のリンゴに由来する色です。

色彩検定のテキストの解説によると、アダムとイヴのりんご、いわゆる禁断の実は「絵画作品では青リンゴに描かれているものが多い」とあります。この色名が使われ始めた17世紀頃も、青リンゴが一般的だったようですし、最近では、日本のスーパーでも、この「青リンゴ」も多数揃えていますね。

 

「えぇ!でも、なんで青リンゴなの?」と思った人は、色彩センスがシステマチックになっていますね。

JIS慣用色名のアップルグリーンを系統色名でいうと「やわらかい緑みの黄」、マンセル値は10GY 8/5 となっています。

つまり「緑みの黄」だから「黄色の仲間ですか?」ということになります。

日本語での色の呼び方の慣習は、黄色に少しでも緑の要素が入ると「青」と呼ばれることがあります。緑は青の範疇だからです。

PCCSでの9番(緑みの黄)からPCCSの20番(青紫)あたりを「青」と呼んで、少しも違和感がないのが日本の色彩文化です。だから「青りんご」といっても、ほとんどの人が違和感なく受け止めるのでしょう。

 

日本語での色の呼び方の慣習は、黄色に少しでも緑の要素が入ると「青」と呼ばれることがあります。緑は青の範疇だからです。

 

PCCSでの9番(緑みの黄)からPCCSの20番(青紫)あたりを「青」と呼んで、少しも違和感がないのが日本の色彩文化です。だから「青りんご」といっても、ほとんどの人が違和感なく受け止めるのでしょう。

卒業式シーズンに見る海老茶式部

卒業式シーズンになり、袴姿の女性を見る季節になりました。

花火大会、成人式、卒業式

の日本女性が和服に親しむ3イベントの中でも、

卒業式の袴姿は「教養のある日本の女性の凛とした美しさ」を象徴するものです。

 

そもそも女性の「袴」は椅子に座って、勉学に勤しむときに裾が乱れるという理由でした。

以下のような紆余曲折がありました。

1.着流しの着物は授業を受ける際、裾が乱れるとの理由で、男袴の着用へ。

2.袴は男性のものだと反対が多く、明治16年廃止。鹿鳴館(ろくめいかん)の影響などで洋装へ。

3.明治22年、国粋主義の流れから洋装廃止。再び、スカート状袴へ。

 

 

当時、華族女学校が採用していた紫色の女袴(ちょうちんハカマ、股がないスカート状の袴)の色を替え、明治30年代半ばに定着したといいます。


ちなみに、紫は当時華族が用いる高貴な色で、そのままでは畏れ多いことから紫はタブーとされ、それに代わる色として海老茶色が愛されました。

海老茶(えびちゃ)とは、伊勢エビの殻のような色を指します。それを

紫式部にひっかけて、「海老茶式部(えびちゃしきぶ)」と呼ばれました。

この配色は、上記の大正時代の袴と上下が逆になったような、定番の配色ですね。

例えば、臙脂色(えんじ、濃い赤系)の着物に、紺(濃い青)の袴を合わせるのは、色相に変化を持たせ、色調はいずれも、濃い、暗い色同士にします。

そこに、小物と半襟の色を明るい色にして、アクセントカラーのようでもあり、セパレートカラーのように用います。

 

 

【問題A 臙脂×紺】

この着こなしに当てはまるのはどちらでしょうか?

 

1.色相は類似の調和、トーンは対照性の調和

2.色相は対照の調和、トーンは共通性の調和

 

 

【解説A】

着物は臙脂色の地色(赤紫24〜1番)

袴は濃紺(青18〜19番)

互いに対照色相

(*ただし、袴の青にはやや赤みがあるので、色相のコントラストは補色のように正反対のものではない)

 

着物の地色は濃い色調(dpトーン)

袴は暗い色調(dk トーン)

しかも共に暗清色なので共通性が感じられる。

 

【答えA】

2.色相は対照の調和、トーンは共通性の調和

 

 

 

 

【問題B 朱色×常磐緑】

この着こなしに当てはまるのはどちらでしょうか?

 

1.色相は類似の調和、トーンは対照性の調和

2.色相は対照の調和、トーンは共通性の調和

 

【解説B】

着物は朱色が地色(3番黄みの赤)

袴は緑(12番)で対照色相

 

【答えB】

2.色相は対照の調和、トーンは共通性の調和

 

 

同上【海老茶×深緑】

この着こなしに当てはまるのはどちらでしょうか?

 

【問題C】

1.色相は類似の調和、トーンは対照性の調和

2.色相は対照の調和、トーンは共通性の調和

3.色相は類似の調和、トーンは共通性の調和

 

【解説C 若紫×薄紅】

着物の色は若紫色(色相-紫、22番)

袴の色は薄紅色(色相-赤紫、24番)

 

【答えC】

3.色相は類似の調和、トーンは共通性の調和

 

 

問題C「若紫×薄紅」の配色は、洋服の着こなしルールを着物に持ち込んでいます。

それは、色相が類似だからです。

「色は華やかだけど、配色としては地味」

になってしまっています。むしろ着物は

「色は地味だけど、配色は派手」の方がしっくりくるものです。

 

若紫よりも、紫根色(しこんいろ)

薄紅よりも、臙脂(えんじ)

のように、一色としてはやや落ち着いた色ながら、色の組み合せにコントラストを付けたり、

若紫や薄紅などは小物として効かせるという方が美しいのではないでしょうか。

 

 

 

 

日本初の色彩の商標登録1「トンボ鉛筆」と後悔の念

トンボ消しゴム「青×白×黒」色彩の商標登録
トンボ消しゴムMONO「青×白×黒」

【色彩の商標登録】という言葉を聞いたことがありますか?

 

2017年3月1日、経済産業省は、企業・商品などのブランドを象徴する「色」や「色の組み合わせ」の商標登録を始めました。

色彩以外にも、図形や音も登録の対象となっています。

 

その第1号として、数ある申請のなかから選ばれたのが、トンボ鉛筆の消しゴムの配色です

 

トンボ鉛筆の消しゴムの本体を巻いている紙製ケースの3色「青・白・黒のストライプ」の組み合せは、1969年発売されて以来、48年もの間、その姿を変えることなく、親しまれてきました。日本人なら、誰しも1度は目にし、手にした配色でしょう。

 

これだけ、長く愛され続けたからには、それなりの理由があるはずです。

 

改めて、3色の色の意味を掘り下げてみました。

 

【濃い青】

◯青は、向上心や勤勉さを示します(実際に向学心がある時は、青に惹かれるのです)。消しゴムを使って勉学に勤しむ時の心情とピッタリです。

◯弛緩的(ゆるむ感じ)の暖色に対し、寒色の青は、ぴしっとする緊張感があります。爽やかな、明るい青ではなく、濃い青であるため、緊張感の効果が大きいのです。

 

【白】

◯清潔感があります。真っ白は、綺麗に消せますというイメージです。

◯(深層心理と色の関係から)人は何かを後悔する時、白に惹かれます(★後で解説)。

 

【黒】

最も重い色なので、堅実で安定感があります。

◯黒、青との組み合わせで明快なコントラストです。

 

【黒×白×青】

明快な配色が、キリッとした緊張感が生まれます。

 

 

(★)

私たちが、消しゴムで何かを消す時、指は、白い部分に触れて、視線は白を中心に見ているでしょう。

「白」は深層心理的には、後悔、自分のしたことを無かったことにしたい気分の時に、欲する色彩だと言われています。

文字を消しながら、自分のした事(例えば、間違った計算の結果)そのものを消し去れることが、長く愛され続けている理由の1つかもしれません。

 

物理的にも消すだけでなく、心理的にも、綺麗さっぱりと消し去ってくれるイメージなのですね。

 

これは、計算違いのような小さな後悔に限らず、もっと大きな後悔の念に苛まれる時にも同じ効果があります。後悔して、白い服を着てしまう、ということになるのです。

 

 

 

 (次のブログ)もう1つ、トンボ鉛筆のカラーデザインとともに、商標登録された、国民的なカラーデザインがあります。


今も団十郎茶の伝統が息づく

市川団十郎 団十郎茶
五代目団十郎茶の演目「暫(しばらく)」

江戸時代に流行した茶色の色名に「団十郎茶」というのがあります。歌舞伎役者 市川団十郎に由来するもので、市川団十郎の二代目が演目”暫(しばらく)”で身に付けた素襖(衣装)に由来します。

 

成田山新勝寺 節分会 団十郎茶
平成29年成田山新勝寺の節分会(デイリースポーツより)

 さて、先日、成田山新勝寺で2017年節分会で、豆まきが行われる光景がニュースになっていました。市川海老蔵氏の裃の色こそ、伝統的な団十郎茶でした。

団十郎だけではなく、市川家の伝統的な色になっているのです。

 

茶系統の色は色の範囲も広く、色名も数多いのですが、団十郎茶は、一言でいうと「赤っぽい茶色」になります。

和の色名〜着物編〜

鴇色(ときいろ)・・ピンク全般。

韓紅花(からくれない)・・ビビッドな赤。彩度の高い赤。

蘇芳(すおう)・・落ち着きのある赤。

鳶色(とびいろ)・・茶色に近い。

◯柑子色(こうじいろ)・・柑子みかんの色。黄みの橙

◯代赭色(たいしゃ)・・赤みを帯びた、暗めの橙色

◯鬱金色・・こってり黄色

◯刈安色・・すっきり黄色

◯黄葉色・・彩度高めのすっきり黄色

◯海松色・・暗い黄緑色。オリーブグリーンの和名版。海松(みる)とは海草のこと。

◯鶸色・・明るい黄緑、かなり緑みを帯びた黄色

◯緑青・・「ろくしょう」と読む。色相は青緑ではなく、緑色。

◯鉄色・・暗い青緑系全般をさす。

◯縹色・・青色全般

※江戸時代は「青」より「はなだ」という色名の方がよく用いられた。

◯納戸色・・くすんだ青系全般

◯新橋色・・明るい緑みの青

◯藤色(ふじいろ)・・明るい青紫系全般。

 

◯銀鼠・・シルバーグレイ

◯利休鼠・・緑系の無彩色

◯煤竹色・・茶色とグレイの中間の色

色を際立せるルール「紺丹緑紫」

色をド派手に見せるには、正反対の色を並べるのが基本ですね。このことを一番良く知っていたのは、古(いにしえ)の人々でした。

なぜなら、人工顔料も、化学染料も無い時代、好き勝手に華やかな色、高彩度の色を得ることは難しく、そのために、もっとも引き立てあう色の組み合せを、人々が経験から学んでいったからでしょう。

 

 

例えば、奈良時代の仏教彩色について

 

紺丹緑紫(こんたんりょくし)と呼ばれる色の原理があります。

 

使われた色の基本は5色

◆紺(こん)・・群青色

◆丹(たん・に)・・橙色

◆緑(みどり)

◆紫・・臙脂(えんじ)

◆朱(しゅ)

 

 この5色は当然ながら、2組の補色より成り立つ配色でした。

◆緑(PCCS12番)と臙脂系のピンク(PCCS24番)

◆群青(PCCS18番)と丹(PCCS5番)

とそれぞれ補色関係のペアで成り立っています。

(色相差は色相番号12差が最大でこれを補色という)。

 

今は地味に思える寺院の中には、創建当時は、度肝を抜く彩色のものが多くありました。

次は、有名な奈良の東大寺の大仏殿を復元したものです。

 

これは、大仏殿を下から見上げたときの彩色です。

これらの色は、決まった色の呼び名があります。

 

◆赤(黄みがかった赤)・・

◆緑・・・・緑青(ろくしょう)

◆ピンクっぽい赤・・・臙脂色(えんじいろ)

◆青・・・紺(こん)、群青(ぐんじょう)

◆橙っぽい色・・・丹(たん)

 

 

◆一番左

群青、紺のグラデーション

 

◆左から2番目

丹のグラデーション

 

◆左から3番目

緑青のグラデーション

 

◆左から4番目

臙脂色のグラデーション

 

※グラデーションのことを日本では繧繝彩色(うんげんさいしき)と言います。

 

 

 

西洋で色相環や補色という考え方が生み出され、印象派やロマン派の画家たちが、その影響を受けましたが、その1000年以上も前から、日本では、色相環などという考えは無かったものの、経験的に互いを引立て合う色を知っていたのです。

お正月の配色「◯×◯×◯」

年末になると、街のポスターが、クリスマス配色の「赤×白」「赤×黒」から→ 

正月を連想させる「白×赤×黄」の配色にお化粧直しされます。

例えば、NHK紅白歌合戦のポスターや、箱根駅伝のポスターが、ことさら目をひきました。

 

それらは「白×赤×黄」の色の組み合わせで、各色はそれぞれ次のような意味を持っています。

◆晴れの日(特別の日)の「赤」

◆神聖で厳かな「白」

◆豪華な「金」

 

 

「日の丸の配色」に「金」がプラスされた組み合せですね。

 

NHKの紅白歌合戦の配色は毎年変わることなくこの定番の配色です。

 

さらに、3色の強弱(面積比)に注目しましょう。

常に白が最も大きな面積であることも特徴的です。

 

◆赤の面積が大きいと・・めでたい感が増します。目を引きます。

◆金の面積が大きいと・・ゴージャス感が増します。

◆白の面積が大きいと・・品の良さが強調されます。

 

 

一方

◆赤が大きすぎると・・品がなくなります。猥雑になります。

◆金が大きすぎると・・品がなくなります。重たい印象になります。

◆白が大きすぎると・・地味になります。インパクトがなくなります。

 

 

2016年NHK紅白歌合戦ポスター「白×金×赤」
2016年NHK紅白歌合戦ポスター「白×金×赤」。面積の順番は①白②金③赤
2013年NHK紅白歌合戦ポスター「白×赤×金」
2013年NHK紅白歌合戦ポスター「白×赤×金」面積の順番は①白②赤③金
箱根駅伝のポスター「白×金×赤」
箱根駅伝のポスター「白×金×赤」。面積の順番は①白②金③赤

この箱根駅伝のポスターの配色も

白・・ベースカラー

金・・アソートカラー

赤・・アクセントカラー

 

となり、華やぎと神聖さと御祝い感の具合いちょうどよく、まさに箱根駅伝にふさわしい調和です。

 

 

 

最後に「金色って何色か?」をご説明します。

 

金色を系統色名で表現すると「浅い黄みのブラウン」あるいは「濃い赤みの黄」

色記号ではdp7

になります。

 

「明るめの金色(色みが薄めの金色)」を用いることで、より洗練されたイメージになっているようです。

 

ラファエロという美

ラファエロ作「小椅子の聖母」
ラファエロ作「小椅子の聖母」

ラファエロの代表作の1つ。トンド(円形画)形式という丸い空間の中に、聖母子と聖ヨハネが押し込まれるように、配されています。何とも、暖かみのある作品ですね。

聖母マリアの配色は、青い衣が定番ですが、本作では異なっています。全体には赤・黄・青の三原色に近い色相が散りばめられています。特に、幼子イエスの黄色と洗礼者ヨハネの青が補色関係で接しており、全体としても緑→赤→黄→青がそれぞれ接しながら、順番に並んでいます。

中央に暖色、周辺に寒色系が配置されることで、真ん中に膨張色(進出色)が集まり、より立体的で丸みが強調されています。

1514年
直径71cm

板に 油彩

ピッティ美術館(フィレンツェ)


ラファエロ作「サン・シストの聖母」の一部
ラファエロ作「サン・シストの聖母」の一部