コラム「ピカソの青の時代」

「青の時代」って何でしょう?あなたにも「青の時代」がありましたか?

「青春」という言葉がありますが、

人生に、もがき苦しみ、必死で何かを求める、そんな心理状況を色に表すと「青」になります。

逆に「黄昏(たそがれ)」という言葉は、人生の黄昏、後半期を指します。

青春期と黄昏時が、正反対のイメージであるように、黄と青は補色の関係(正反対の色)なのです。


さて、「ピカソの青の時代」とは、親友の自殺などをきっかけに、ピカソの描く絵が青一色になった1901年〜1904年頃を指します。この「青」は何を意味しているのでしょうか?

悲哀や悲しみだけではなく、必死で何かを求め、何かを得ようとする若きピカソの青の時代の絵の数々を紹介します。

 

盲人の食事 1903年 ピカソ 青の時代
ピカソ1903年「盲人の食事」
青の時代 ピカソ
ピカソ1903年「海辺の貧しい人々」
青の時代 ピカソ
ピカソ1903年「ラ・ヴィ人生」

左の男性はピカソの親友。彼の自殺に衝撃を受けたピカソは、その後、数年間、一面、青の絵画を描き続けます。

 

その理由はさまざまに憶測されています。

例えば、青い画材が一番安かったとか、

人生のどん底の苦しみが、暗い青の心の風景を描かせたとか、、

また、深い精神性を感じさせる色でもあります。

内省的な青、

深く深く、自分の内面へ向かっている色、あるいは

遠く、遠く、まだ見ぬ理想や、高みの色。それが青です。

 

理想をもち、内なる自分に向かう、そういう精神状態を色彩心理では、色に表すと「青」になります。

ピカソのような天才でなくても、私たちの人生においても、

年期、春期は、まさにそういう時代でしょう。

 

ただ、画家の場合は、真摯に自分の心と向き合う分、顕著に心理状態が色に表れるのです。

画家によって、また同じ画家でも時代によって、ある色に執拗にこだわる、ということがよく見られます。

例えば、ゴッホの黄色、ゴッホの黄と青の配色、

そして、ピカソはこの後「バラ色の時代」を迎えます。