コラム「花いちもんめ〜誰か肌染めん〜」

 勝って(買って)嬉しい花いちもんめ。  

       負けて悔しい花いちもんめ。

 あの子が欲しい。  

      あの子じゃわからん。

 この子が欲しい。 

      この子じゃわからん。

 相談しよう。   

      そうしよう。」

大人の方なら、子供の頃、歌ったことのある方も多いだそう。懐かしいわらべ唄だ。


2つのグループに分かれて交互にこの唄を歌いながら、メンバーを一人ずつ自分の陣地に取り合う。

実はこの唄には「花・いちもんめ」と引き換えに、あの子が欲しい、この子が欲しいと人買いの交渉を暗喩した悲しい意味が込められている。

花とは赤色染料になる紅花のこと。いちもんめは「一匁)」と書き、約3.75グラムの重さをいう。つまり,紅餅)(紅花から採った赤い色素を餅のように固めたもの)3.75グラムと、女の子一人を交換(人身売買)しようというのである。子供の口ずさむ無邪気なわらべ唄が、当時の日本がいかに貧しかったか、そして紅花がいかに高価であったかを伝えている。

当時は「金一匁、,紅花一匁(きんいちもんめ、べにばないちもんめ)と言われ、紅餅は同じ重さの金と交換したほど高価であった。

紅花は山形県の最上川流域が産地である。松尾芭蕉の『奥の細道』に

「ゆく末は

  たが肌ふれん 

    紅の花」

というのがある。

芭蕉が山形県の最上川流域の尾花沢に立ち寄った際に作った。一面に広がる紅花に、芭蕉も旅の疲れを癒したことであろう。

「美しい紅の花は

  華麗な赤色となって、

   最後はいったい誰の肌に触れられるのだろうか」という意味である。

京の都で美しい娘の着物や口元を赤く染めた姿を芭蕉は連想したかもしれない。

紅色が女性のほのかな色気をふっと感じさせるがゆえの美しい一であろう。

 

紅花は、持ち運びしやすい餅状にして京や江戸へ送り、これらの地で染められた。

現代のように、合成染料で自由自在に色が得られる時代とは違って、どの色も濃く染めるにはそれだけ多くの染料と手間が必要であった。

特に紅花のような高価な染め色はそれゆえ薄い色が主流である。

鮮明に染めた紅花の染め色のことを

特に紅の八入の色(べにのやしおのいろ)」という。染料の甕に八回も入れて染めたような鮮明な紅色の意味である。(つづく)

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コメント: 1
  • #1

    かすがいどうふ (水曜日, 06 4月 2022 01:48)

    【コラムの感想・豆知識】
    最初にこの記事を見てから、
    何日か経って気づいたのですが、もしかしてコメントは、
    全部のコラムでできる訳では無いんですかね??

    コラム「ゴッホの遺作から知る色の警告」では、コメントできたのですが、、

    しょうがないので、ココに、今まで見たコラムの感想・豆知識書きます(勝手にすみません)。



    ・「コラム「花いちもんめ〜誰か肌染めん〜」について」

    私は、最近色について調べていて、目的は主に紅色についてでした。

    私が、e色彩学校さんのコラムを初めて見たのは4月1日で、
    この、コラム「花いちもんめ〜誰か肌染めん〜」を閲覧しました。

    このコラムは、簡潔に言うと
    「はないちもんめ」は「紅餅約4gと少女を交換する」人身売買の歌…という内容でした。

    松尾芭蕉の「奥の細道」や、「はないちもんめ」の歌詞の意味など、
    知らなかったことが沢山あったことにも感動しましたが、
    何より歓喜したのが、情報の細かさ・正確さ!!

    私はすぐ情報を鵜呑みにするクセがあり、
    騙されたこともしばしばあって、いろんな記事やサイトを見ないと安心できないのですが、
    いままで見てきたものを照らし合わせても、
    100%とは言い切れませんが(不安なので)、90%くらいは信用出来そうで、
    いいソース見つけた!!!!!……となりました(笑)

    そしてコラムがものすごく面白い!!!
    色に触れ合ったことなんて、
    美術や図工の授業くらいでしか無かった私でも、しっかり理解出来るかつ面白いので、
    6月くらいには全部見終わってしまうかも(笑)

    楽しみが無くならないように、毎日夜にじっくり読もうと思います…



    ・「コラム「みどりについて」について」

    このコラムは、
    私は小学生の頃から、青信号と聞くたび「み、緑じゃね????」と
    頭の中で困惑していたので、
    このコラムで霧が晴れたような気分になりました(笑)神コラムです!

    このコラムは、
    青と緑が混同されている(特に信号機の青信号)のは、
    緑という名前(区分)が長い間無かったから…という内容でした。

    細菌学では、
    英語のpurpleの訳語として、紅色(こうしょく)を用いる。(ウィキペディアより)
    らしいので、困惑する色の話って意外と多いのかも…(笑)

    あるサイトの「みどり」の語源で面白いものがありました。
    「緑」の語源についてですが、
    古くは濃い緑色を『ソニドリのあお』と呼んでいました。
    「ソニドリ」とは翡翠の古名で、「ソニドリ」から転じて「みどり」となっています。
    …だそうです。

    他にもみどりの語源はあるようですが、
    コラムの補完になりそうなのが、これしか見つかりませんでした。



    ・「コラム「ゴッホの遺作から知る色の警告」について」

    2022/04/05 現在、ニュースは「ロシアのウクライナ侵攻」の話一色です。

    ウクライナの国旗は、
    上半分の青が「ウクライナの青空」、
    下半分の黄色が「ウクライナの小麦畑」と言われていますね(諸説あり)。

    このコラムでは、
    ゴッホの作品の「極度の悲しみと孤独」…について書かれていました。

    その暗い部分から、「陰鬱さ」みたいなものを感じ取って、
    ウクライナの話をしてしまうのは、良くないと思うのですが、
    もし、ウクライナのこどもたちが、暗い青を使って、暗い絵を描いていたら、
    国を跨いでいる私たちは、いったい何が出来るのか…

    かなり考えさせられました。



    ・「女と男、昼と夜、黄と青、陰と陽 について」

    このコラムは、
    陰と陽のように黄と青は、補い合うもの。
    …という内容でした。

    例えの
    「女は陰、男は陽」「夜は陰、昼は陽」「陰は冷たく、陽は暖かい」
    というのが、ものすごく理解りやすかったです!!!

    私は、星座占いなどの、不動宮や星(主に太陽)の関係性や、
    その星座の元となる神話が大好き(占いは信じてません!楽しんだもん勝ちです!!)で、
    「女は陰、男は陽」の部分が、
    12星座の二区分(ポラリティ)である「男性星座と女性星座」のように感じ、感動しました。

    この2区分は、12星座を男性星座と女性星座の2つに分け、
    男性であれば、「目的に対して、直接的にアプローチする」いわゆる外交的な人間。
    女性であれば、「物事に対して、自分に結論を求める」いわゆる内向的な人間
    …となるもので(うろ覚えなので、あまり信用しないで下さいね)、
    その男性・女性の言い換えには、
    ポジティブ(男性的)・ネガティブ(女性的)というのが存在するのです。

    ポジティブ(陽性)・ネガティブ(陰性)や
    ポジティブ(+)・ネガティブ(−)という関係性を見ても、
    陰と陽、女と男は補い合っているのかなぁ……と思いました。



    ・「コラム「フェルメールの青」について」

    このコラムは、
    「真珠の耳飾りの少女」で青が印象付く理由は、「ラピスラズリ(高価な顔料)を使ったから」
    という内容でした。

    確かに「真珠の耳飾りの少女」は、ラピスラズリの青がとても印象的で、
    かつ、光の魔術師とも言われたフェルメールの
    不思議なハイライトも素晴らしい作品ですね。

    他の画家がお金に困る中で、
    フェルメールはかなりのお金持ちだった…と聞いたことがあります。

    そして、少女は誰がモデルかわからなかったので、調べました!!!
    「少女は誰がモデルでもない」というのが結論です!!

    「真珠の耳飾りの少女」はトローニー画でした。
    トローニーは、誰とは特定されない人物の胸から上を描いた作品です。……とのことで、

    フェルメールの、好きな部位を集めたキメラかもしれませんし、
    完全オリジナルの可能性もありますね!!!



    ・「すべての女性が、美しく着飾っていた について」

    このコラムは、
    8000年前(縄文時代)から、女性の装飾品がいくつも出土した。
    つまり、いついかなる時代の女性も美しく着飾っていた。
    …というような内容でした。

    女性が美しく着飾れるというのは、
    いいかえれば女性がとても大切にされてる社会だったということです。
    …という一文にとても納得しました。

    確かに、「治安の良さを見極める」という題材のテレビ番組で、
    コンビニは、治安が良いところは女性雑誌が置いてある。
    という内容があったと記憶しているので、
    女性が安心して、美しく着飾れる時代は、良い時代なのかもしれないですね。