コラム「色名」プルシャンブルー

プルシアンブルー
東海道五十三次「品川宿」

東海道五十三次の「品川宿」です。安藤広重の人気シリーズですね。当時、江戸でも人気を博した浮世絵ですが、今でも美しい色彩を留めているその理由が藍色です。

この色は「ベロ藍」と言います。ベロとはドイツのベルリンのこと、ベルリン藍がなまった言い方です。
1704年、ドイツのベルリンにおいて、世界初めて人工顔料を作ることに成功しました。19世紀幕末になると、日本にも輸入されはじめ、浮世絵にも、この新しいベロ藍が用いられます。だいたい1830年以前は天然藍、それ以降はベロ藍が多いとされています。
浮世絵の世界では「ベロ藍」と言いますが、一般には、ドイツの古い名プロイセンの名を冠した、プルシアンブルーが有名です。36色くらいの絵の具になら、プルシアンブルーの名前がありますね。
このように、19世紀の前半、人工顔料の時代になります。そして、顔料が発見された国に因んで、名前がつけられました。
同時期にフランスのパリでも同様の発見がされたのでパリ藍という色名もあります。
 
色名にこぞって、国名を付ける感覚は、今では、ピンとこないかもしれませんが、それほど、合成染料や合成顔料の発見というのは、大事件なのです。
 
それまで、世界中の藍色を染めていたインドの藍(だからインド藍やインディゴと言います)は、安価な合成顔料の出現で、インド藍の価格が大暴落し、イギリスの植民地支配に大打撃を与えたほどでした。
 
とにかく、浮世絵の藍色は、美しい!!。
で、この藍色は、浮世絵の美しさから、ちゃっかりジャパンブルーとも呼ばれていますね。