コラム「色名」一斤染

日本の伝統的な色名です。一斤は「いっこん」または「いっきん」とも読み、重さの単位。食パン一斤(いっきん)と同じ重さです。着物二反分を紅花一斤の重さ(約600グラム弱)で染めた色という意味です。

どうして、こんな、まどろっこしい色名があるかというと、紅花染めが余りにも高価で貴重だった為。つまり、色には身分があったのです。
「紅花染めの赤は、普通の人は、たとえどんなにお金があっても着てはダメよ。特別な色なんだから!。偉ーい人しか着てはダメ!」
ただし、「薄く染めるだけなら、着ることを許してあげましょう。」ということで、許可された基準が「紅花一斤の重さまで」でした。
このような色を聴色(ゆるしいろ)といいます。
 
とはいえ、いくら薄い染めでも、紅花のきれいな色は、庶民には手が届かなかったでしょう。一部の豊かな人々の色彩でした。