コラム「フェルメールの青」

フェルメールブルー 
「真珠の首飾りの少女」

『真珠の首飾りの少女』17世紀の輝くブルー、北のモナリザが微笑む色

⇧一度は見たことのある絵でしょう。1665年、ヨハネス・フェルメールの代表作です。別名は『青いターバンの少女』あるいは『ターバンを巻いた少女』。

口元のかすかな笑みから「北のモナリザ」とも言われています。(オランダのマウリッツハイス美術館所蔵)

さて、次の美女はその21世紀版

スカーレットヨハンソンとフェルメール
スカーレットヨハンソンの演じる「北のモナリザ」

スカーレット・ヨハンソンが、2003年イギリス・ルクセンブルク合作映画「真珠の首飾りの少女」で少女役に扮しています。

映画の中には、フェルメールがこの作品を描いたときの様子も情感豊かに描かれています。もちろん実際には、誰がモデルかもわかっていないのですが。

因みに2015年7月13(月) wowwowで放映予定。

この超有名な17世紀の絵画は、その題名にもなっているように「青いターバン」が印象的ですね。

なぜ、青いのか?という議論がなされることも多く、

ターバンの『青が黄色と補色関係』で調和がとれているなど、云々、言われることもありますが。

 

その理由をたった一言で答えるなら

「一番、高価な絵具だから」ということになるでしょう。

 

この青い色は、ラピスラズリという高価な高価な鉱石から作られます。今でも、一番高価な絵具です。

いわば、宝石をちりばめたような色。

 

青の中に華やかさのある華麗な青

一般にはウルトラマンブルーと呼ばれています。

(Ultra-Marine-Blue  ラピスラズリがわざわざ海を渡ってヨーロッパまで運ばれた青、という意味)

 

画家がクライアントと契約する際に、ラピスラズリを何グラム使用するかを明記したほどでした。

 

 

そのため、西洋でも昔から、最も高貴な女性、つまり聖母マリアを描くときにそのマントの色を、この青色顔料で描く決まりがありました。

 

そして17世紀、当時豊かだったオランダの画家フェルメールは、この色をふんだんに使った名作を世に遺しました。

そして、この色はフェルメールブルーとも呼ばれています。

聖母マリアを描くので、マドンナブルー(マドンナとは聖母のこと)、ともいいます。ウルトラマンブルー、フェルメールブルーと同じ色のことです。

 

因みに、この時代、真珠も大変高価でした。



名画の鑑賞する際に、知っておきたいことは、

画家が色を選択するとき、

 

調和する色、

写実的な色、

画家の深層心理を映し出した色

 

と色を選択する理由はさまざまですが、

 

また「色の値段」というのも見逃せないポイントでしょう。

同じオランダの画家ゴッホならば、

使いたくても、買うことの出来ない色です。

 

もちろん、フェルメールの17世紀と比べて、

19世紀のゴッホの時代は、新しい合成顔料も誕生してきたわけですが。