コラム「配色の形式と文化」

配色とは「2つ以上の色を組み合せて、新たな効果を得る」ことです。無限に近い色の組み合せの中から、色の組み合わせを選びます。

そして、どのような配色をよしとするかは、それぞれの文化によって決まる、のです。

つまり、配色のよしあしは、その文化・価値観によって違ってくるでしょう。

配色効果を、欧米の文化では「色彩調和」といいますが、これを日本風に言えば「色のうつりがよい」と表現できます。

もちろん「調和」と「うつりがよい」は元々、異質の文化を背景にした概念なので、まったく同じ意味ということではありません。

 

最近は、「色彩調和」という言葉に日本人も慣れてきて、色彩検定でも、当然のように出題されますから、違和感を持つことも少ないかもしれませんが、それでも尚、多くの日本人には「色彩調和」あるいは「色彩調和論を応用して、色を決めよう!」という発想に、若干、違和感があるではないでしょうか?

 

その決定的な違いは、日本文化には「配色が調和するかどうかは、あくまでも主観的な問題に過ぎず、理性や意志、理屈の入り込む余地のないもの」という前提があります。

 

一方、欧米、つまりギリシア・ローマ文化が根底にある人々には「調和という理念が確固として存在しており」その規範に合致したものが良い、と考えてきた歴史があります。

つまり、色彩検定でも云々される「欧米の色彩調和論」は、「配色を理性と意志の支配下に置く」ということを原則にして始まっているのです。

(つづく)