色の価値「ユダの接吻」

14から15世紀のルネッサンスの時代には、色彩には象徴的な序列があると考えられていました。純粋で鮮明な色は「神聖さ」がある、明るく澄んだ色彩は神の創造であり、混ぜた色は堕落であるという、観念があったのです。

さて、西欧では「イエロー」は卑怯者、裏切り者の意味で用いることがあります。あるいはイエローペーパー(扇情小説)、イエローモンキーなど、否定的案ニュアンスが否めません。

その文化的な土壌となっているのが、この有名なジョット作「ユダの接吻」です。

接吻によってイエスを裏切った弟子ユダの衣を、画家ジョットは「イエロー・オーカー」で塗っています。この色は邪悪を意味し、より具体的に裏切りと卑怯さを表しているとされます。ルネッサンスの人には、この色の意味は明らかなものだったでしょう。

「ユダの接吻」 ジョット作1305年 200×185cm フレスコ画
「ユダの接吻」 ジョット作1305年 200×185cm フレスコ画