光のフェルメールと闇のレンブラント

レンブラント「夜警」
レンブラント「夜警」1642年

「フェルメールとレンブラント展」が来月2016年1月、東京の六本木ヒルズで開かれます。   さて、有名な画家である2人の共通点は何でしょうか?

 

①painterである。

②オランダ人である。

③バロック期の人物である。

①②③どれも正解です。 17世紀オランダは黄金時代。この時代に、日本人にも馴染みの深い2大画家が同時期に活躍しました。   「光のフェルメールと闇のレンブラント」は、なかなかいいキャッチコピーですね。

フェルメール「牛乳を注ぐ女」1
フェルメール「牛乳を注ぐ女」1658年

一般的に、美術や歴史の教科書で

レンブラントは「光と影の画家」と呼ばれますね。

それで、このキャッチコピーに、

「えっ、レンブラントも、光の画家ではないの?」

と思う人もいるかもしれませんね。(私の知人がそうでした)。

 

では、レンブラントの「夜警」を見てみましょう。

画面の大部分は「闇」が覆っていますね。その闇ゆえに一条の光が、まるで舞台照明のように輝いて見えます。

 

◎レンブラントの画風

背景は暗い画風。舞台照明のスポットライトを使ったようなライティング。

その結果、暗い中に明るい部分が強調されて、劇的な要素が強く感じらます。

 

◎フェルメールの画風

箱型のカメラ・オブスクラ(現在のカメラ)で、レンズを通して見た映像を忠実に再現。 中には「ピンぼけ」の感じを再現した作品もあります。

 

 

フェルメールの代表作「牛乳を注ぐ女」にも、レンブラントの劇的な明暗表現ではないけれども、きちっと「明暗表現」がなされています。

後ろの白い壁を見てください。一面同じ色であるはずの後ろの壁は、右側は明るく、左側は暗くなっていますね。

そのことで、左側から優しい光が入りこんでいる様子がわかり、また、人物が、その明暗の中で浮かびあがっているように見えるのです。

 

このように、フェルメールの小品(フェルメールの作品は小さいサイズばかりです)は、ダイナミックなレンブラントの舞台照明(スポットライト)とは対象的に、

レンズを通して見た、身近な生活風景を繊細な眼で描いています。

 

 

さて、あなたはどちらがお好みですか?