バングラデシュと紅殻(ベンガラ)格子

バングラデシュの国旗
バングラデシュの国旗

日の丸とよく似た、この国旗をご存知ですか?

 

日章旗の地色の白を緑に変えた、このデザインは、先日、首都ダッカでテロ事件がおきた「バングラデシュ」のものです。

 

かつて、バングラデシュの首相が来日した時は「日の丸を参考にした」と語っていたそうです。

 

 

さて、

Question「背景は何故、緑色なのでしょうか?」

最も適切な解説を下記から1つ選びましょう。

 

1.環境志向が強い国だから。

2.イスラム教の国だから。

3.疲れた人が考えたから。

4.赤の反対の色だから。

 

 

Answer

2.イスラム教の国だから。

 

解説)

2.緑色はイスラム教の色です。イスラム教国家は、必ず、国旗に緑色を用います。

乾燥した厳しい環境に生きる人々にとって何よりも大切なのは、水であり、オアシス(=緑色)です。

湿気が多く、どこでも緑の草木が生える土地に住む日本人には想像できない、緑色への神聖な思いがあります。

 

3.人は疲れた時に刺激の少ない「緑色」に惹かれます。ただし国旗とは関係のないことですね。現在、都知事選挙キャンペーンで、小池百合子氏のテーマカラーは「緑色」。環境大臣のイメージとのことですが、実際には、彼女のお疲れ度合とも関係があるでしょう。

自然の緑色は、私たちの心身を癒してくれますが、疲れが極度にたまってくると、自然の緑だけでは足りなくなって、人工的な緑色、例えば、小物やスーツにまで緑色を選ぶようになるのです。昔から「キャリアウーマンが意外に好きな緑色」と言われます。

 

ちなみに、「赤」は、バングラデシュが独立した際に、流された人民の血の色です。

 

 

 バングラデシュは「ベンガル人の国」という意味で、かつてこの地域は黄金のベンガル」と称された豊かな地域でした。インフラの未整備や行政の非能率から、現在はアジアの最貧国になってしまい、このインフラへの援助を行っていた人々が、今回のテロの犠牲になったのです。

 

 さて、「ベンガル」といって、まっ先に思い浮かぶのは「ベンガラ格子」です。

紅殻格子、弁柄格子、ベンガラ
紅殻格子、弁柄格子

京都の町屋などで見かける「弁柄格子(紅殻格子)」は、「ベンガラ格子」と読み、ベンガラ地方の良質な赤土で塗った格子戸の意味です。

かつでベンガル地域で、良質な赤色顔料を産してことに由来します。成分としては「酸化鉄」の赤色ですが、ベンガル地方のブランド力を示しています。

この写真は、岡山県の吹屋(ふきや)という町です。ここは今でも「ベンガラの町」と呼ばれ、ベンガラ漆喰壁の赤い町並みで知られています。

 

 吹屋は、江戸時代、ベンガラ酸化第二鉄)の日本唯一の巨大産地として繁栄を極めました。

 

 

 

吹屋の町並(ベンガラの町、岡山県)
吹屋の町並(ベンガラの町、岡山県)

日本的なしっとりとした街並を印象づけている、深みのある「赤色」が、遠く、ベンガル(今のバングラデシュ)から渡ってきた文化であることは興味深いことですね。